オルセー美術館巡回展の後に、美術館のハシゴをしたのはこちら。 東京藝術大学大学美術館にて、『シャガール~ロシア・アヴァンギャルドとの出会い』。 シャガールを、彼だけ突出した存在として取り上げるのではなく、ロシア・アヴァンギャルド芸術の流れの中に位置づけ、捉えようとする試みの展覧会。 シャガール、私は子どもの頃にはそんなに好きだとも思わなくて、むしろ少し不気味で薄暗い絵を描く人くらいにしか感じていなかったのだけれど。 年を経て、最近になって、もしかしたら私はシャガールの描く世界がとても好きなのではないかと思えてきて。 それは、NYに通うようになって、MET Operaへ行くと必ず彼の描いた大きな絵画を目にするので、それゆえの親近感とか懐かしさのせいなのかもしれなくて。 展覧会の内容的には、シャガールの 「わし、ジューイッシュ(ユダヤ人)じゃけん!!!」 というわかりやすい主張に満ち満ちた興味深いものでしたが。 この展覧会で、何が良かったかって、もうひとえにこちら! 見てください、この子どもの落書きのような楽しさに満ちたデザイン画を! これが何かって? シャガールがMET Operaの柿落としで上演されるモーツァルトの『魔笛』のために描いた、衣装デザイン画なんです。 描かれているのはご存知、夜の女王。 これ、美術館のショップで買ったのですが、クリア・ファイルではなくて、チケット・ホルダーなんです。 オペラのデザイン画でチケット・ホルダーというところが、洒落ているでしょう? でもって、このふざけたような夜の女王のデザイン画ですが、本当にちゃ~んとこの絵の通りの衣装が仕立てられて、実際の舞台でもこういう妙ちきりんな柄のドレスを着て、ソプラノ歌手が歌っちゃったっていうのですから、なんとも可笑しい。 だってこの衣装で"復讐の炎は地獄のように我が心に燃え"を歌うんですよー! そんなふざけたアリア、いいのか?! 想像しただけで楽しい。 MET Operaって、本当におおらかで懐の深い歌劇場ですねえ。 この夜の女王以外にも、もちろん鳥刺しパパゲーノやパパゲーナ、パミーナ、タミーノの衣装デザイン画もあり、幕や緞帳のデザイン画もあって、その展示室はとても華やかで楽しい雰囲気に満ちていました。 更に、サービス満点で、その展示室の中央には実際の舞台写真が飾られ、『魔笛』の音楽が聴ける趣向になっていて、「東京藝大美術館、やりますなぁ」と思ったものでした。 来館者は多過ぎず、少な過ぎず、美術館を訪れることが生活の中に入っている人たちの層で、ゆったりのんびり、自分のペースで作品を味わえるのもとても心地好かったです。 10月11日まで開催していますので、ぜひ。
by bongsenxanh
| 2010-08-15 00:59
| 美術
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Comments(2)
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ともきち
at 2010-08-15 09:16
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はいはーーい(手を挙げてる)
どこにも書いてなかったような気もしますが。 私もこれ行きましたの、いちはやく初期の頃に。 シャガールは私、絵によって好きぐらいのテンションだったので、まあ展示は穏やかに見ていましたが、 この魔笛のところは私も鼻血出したわ(爆) 妹と一緒に行ったのですが、妹も 「あーすごいねーすごいねー」 とぐるぐるあのあたり回遊してました(爆) あの舞台写真とかも良かったねー 私、シャガール展の中でここの部分が一番楽しめたもの。 (で、このあと違う日だけど 同じ上野で哺乳類展も見に行った・・・まだやってますよね?・笑)
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bongsenxanh at 2010-08-15 22:48
♪ともきちさん
おぉ!行かれていましたか!それも初期に!(嬉) そうそう、確かにシャガールって「絵によっては好きよ」っていうところ、ありますよね。 この展覧会のポスターになっている女の人の首が飛んでいる絵なんかは、赤い牛の顔も怖いし、ん―――...っていう感じがしますもの。 でも魔笛部屋は本当に素敵だったのですよねー♥ 今思い返しても楽しくてうっとりします。 妹さんが回遊しちゃうのも、わかりますわかります!! 私もあの部屋、出ちゃうのが惜しくて、何度もぐるぐる回っちゃいましたもの! 展示の最後まで観た後でもう一度あの部屋に戻ったり(笑) 上に出した夜の女王の衣装デザイン以外にも、私は夜の女王がアリアを歌いあげているシーンの舞台セットデザインの絵も大好きでした。 すごく雰囲気が出ていて、おどろしいというよりはとてもファンタスティックで魅惑的な夜の情景で。 シャガール、大好きーーー!って思いました^^ 哺乳類展! それをやっていたのは知りませんでしたー、くぅーーー。 あ、今調べてみたら、私の大好きなクジラやイルカではありませんか!! にょーーー、観れば良かったーーー!!!
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