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『The Merry Widow』 MET Live Viewing
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こちらを、観てまいりました。
Susan Stromanによる新演出ということ、更には我らがKelli O’Haraの華麗なる(念願の?)MET debut!!ということで、期待に期待をミルフィーユのように重ねて観に行きました。

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Susan演出・振付の魅力が如何なく発揮された、とてもゴージャスな舞台でした。
先に観られた方が、「Broadwayとオペラの融合!」というようなことを口々に仰っていたけれど、確かに。
普段、グランド・オペラを上演しているあの大劇場に、Susanのとっても洒落た現代的センスを持ち込むとこんなにも華やかに花開くんだ...という。
男爵邸でのパーティの群舞もしかり、シェ・マキシムでのカンカンはもう、お見事!Susan!!としか言い様がないほどの素晴らしくて粋な振付。
Susanの振付が素晴らしいのは、単に「ダンスを見せている」だけではなくて、そのダンスのひとつひとつの振りに、きちんと意味があること。
その時の登場人物たちの個性や、考えていること、気持ちの揺れがしっかりダンスに表れるように降り付けられている。
感情や動機の裏付けがあるダンスって、持っている力が全然違うのだ。

で、MET debutを飾ったKelliちゃんも頑張ってた...けど、あのカツラとお衣裳でMETの舞台に立つと、前より老けたな...と感じてしまったり。
歌ももちろん、Kelliちゃんのよく通る澄み切った声で良かったけれど...やはり本家のオペラ歌手、Renéeとデュエットしちゃったりなんかすると、一目(耳)瞭然で、違うのですよねー。
デュエットでなく、ソロでも、ま、Renéeとの差は歴然で。
ま、それはそれで。
Metropolitanの華と呼ばれるRenée Flemingも、このMETのポスターでは大分若作りしているな...と思っていましたが、やっぱりもう初老の域に入っていましたね。
いや、それでも流石のRenée Fleming、そのソプラノは健在で、そしてなんだか貫録もたっぷりで、聴かせてくれました。
ソロで聴かせるところは、やはりオペラ歌手の腕の見せどころ、喉の聴かせどころですものね。

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そうそう、Kelliちゃん演じるヴァランシエンヌに言い寄るカミーユ・ド・ロシヨン、Alek Shraderですが、ちょっととっつぁんぼうやの様な雰囲気の、でもまだ若いテノールさん、声もなかなかですが、演技もなかなか良かったです。
全然好みではないのですが(ルックスとして、ね)、この背後からヴァランシエンヌを抱き締めて口説き落とすところでは、ちょっと私も誑し込まれそうになりました。
背後から来られるのに弱いのか、私。
ヴァランシエンヌを口説き落とすのには成功して、あずまやへと導くわけですが、その後...というのがこのオペレッタの面白さ。
Alek以外にも、ヴァランシエンヌの夫・ツェータ男爵を演じたバリトンのThomas Allenも上手いの何の!
オペレッタなので、オペラにはない長い台詞も多くて、コメディなのでそれで笑いを取るシーンも多いのだけれど、それを難なくこなして、非常にチャーミングなおじさまでした。
あと、何と言ってもダニロを演じたバリトンのNathan Gunnがものすごく素敵だった...!!!
その美声ももちろんのこと、台詞を語る時のお声も美声で、更に演技もダンスもこなしちゃって、その上全身からフェロモンがむんむん漂っていて、恰幅のいいお体ながら、ものすごい美丈夫っぷりでした。
そりゃ、あれじゃ、ハンナも元恋人のダニロのこと、忘れられないわけです。
あ、唯一と言っていいほど歌わない役ニェグシュを演じていたCarson Elrodは流石のコメディアンっぷり。
喜劇役者ここにあり、という感じで三の線のおとぼけ従者の役どころを演じていました。

この作品、言わずと知れたことですが、オペレッタなのですよね。
今日の私は、どちらかと言うとがっつりオペラのアリアを聴きたい気分で、Live Viewingへ足を運んでしまったので、この上もなくwell-madeな舞台だったのにも関わらず、
「あぁ...こんな台詞いっぱいなやつじゃなくて、もっとこってりしたアリアを聴かせてほしいなぁ…イタリア・オペラの馬鹿丸出しの"わたしはあなたを愛しているぅぅぅ~~~!"みたいなやつでいいんだよなぁ…」
なんて不謹慎なことを考えてしまいました。
ごめんなさい。
決してこのプロダクションに不満があったわけではないんです。
あ、あと、英語だったのも最初「あれ?あれれれ??」と思ったことのひとつでした。
そうか、ドイツ語ヴァージョンじゃないのか、そうよね、METだものね、前にMETで英語ヴァージョンの『魔笛』だって観たことあるものね。
と思ったけれど。
やっぱり気分としてはイタリア語かドイツ語の響きを聴きたいような気分だったのです。
オペレッタを観に行く時は、オペレッタの気分を盛り上げて行かないといけませんね。
さ、次は『Les Contes d'Hoffmann』だ。
予告映像で観たら、Vittorio Grigoloがめちゃめちゃ良さそうだったので(とってもsexyな歌声)、楽しみ。
by bongsenxanh | 2015-02-24 23:51 | 観劇レビュ NY '14/'15 | Comments(0)


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