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『INTO THE WOODS』(movie)
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これを観て来ました。
何て言うか、この映画そのものが目的ではなく、Sondheim作品の映画化だから観ないわけにはいかない...という思いと、ま、舞台の予習も兼ねて、という思いと。

Sondheim作品をディズニーが買ってしまった(!)ということで、どうなることか…と、ちょっと心配していたのですが、そこは流石のSondheim、彼の音楽でベースがかっちり作られていることもあって、そんなに崩し様もなく、そこそこにちゃんと出来上がっていました(偉そうな言い方で申し訳ないけれど)。
"ディズニー"の名前でもつかない限り、下手したら日本では公開すらしてもらえないかもしれませんものね、Sondheim作品の映画化は。
公開初日だったのと、ジョニデが出ていることもあって(ちょい役だけど)、お客さんの入りは田舎のシネコンにしてはかなりのもの。

えーと、パン屋のおかみさん役のEmily Bluntがなかなか好演していて良かったです。
歌も歌えていたし(まぁまぁ)。
あと、ジャック役の子も、上手くはないのだけど、でもSondheimのあの不協和音のスコアを音を外さずに歌えていたので、なかなか。
彼(Daniel Huttlestone)、映画版の『Les Miserables』でガブロシュを演ってた子なんですね。
赤ずきんの子も独特の"かわいくなさ"加減が良かった(^^;)
二人の王子(シンデレラのと、ラプンツェルのと)が、それぞれChris PineとBilly Magnussenで、それぞれもちろんハンサムなのだけど、その裏にあるハンサムならではの軽薄さと馬鹿っぽさがとっても良くて、二人のデュエットでは声を押し殺しつつ、かなり笑ってしまった。
Billyは、『Vanya and Sonia and Masha and Spike』で2012年のTony Awardsにノミネートされていた、あの彼なんですね。
ジョニデはいつも通りのジョニデです、はい。
悪いオオカミさんの役なので、ま、想像通りのジョニデ。

で。
先にお断りしておくと、私、1988年のBroadway初演時のこの作品、観ているのです。
その当時はまだ日本にいるお子様だったので、もちろん生では観られませんでしたが、舞台録画をNHKのBSが放送していたのです(1992年か’93年頃に)。
あの頃のNHKは偉かった!
というわけで、私の中では、魔女を演じていたBernadette Petersの姿と演技(とりわけ歌!)が、あまりにも強烈で鮮明で、素晴らしく。
だから、Meryl Streepの魔女は、ちょっと、あの、ごにょごにょごにょ…。
いや、彼女は彼女で悪くはないのだろうと思うのですけどね。
映画の絵的には、ああいう感じがいいのでしょうし。
でもMerylって、安定しているのは安定しているのでしょうけど、どの作品で観ても、あー、Merylだねー、っていうお決まりの型で終わっちゃうのですよね。
歌だって、そこまですごいわけではなく…。
ま、いいです、これは映画なので。

映画が終わった後、映画館一杯だったお客さん達が、何となく納得がいかないというか、今一つ満足感を得られずに帰って行く様子だったのが、少し面白かった…と言ったら不謹慎でしょうか。
Sondheimの創り出す音楽と独特の世界に馴染みがない人や、普段、ミュージカルの舞台に接していない人が、いきなりこの作品を観て、すかーん!とカタルシスを得られるという種の映画ではないだろうと思います。
ましてや、ディズニーお得意の大ハッピー・エンドを求めて来た人なら尚のこと。
個人的には、Sondheimのあの韻を踏みまくっている&早口言葉の様な歌詞と不協和音、そして1幕で作り上げた美しい調和を、敢えて2幕で崩壊させて見せるというSondheimならではの作品構成を、改めて楽しんだ感じでした。
by bongsenxanh | 2015-03-15 01:13 | 映画 | Comments(0)


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