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『エリザベート』 ―皇后様と暗殺者とその他諸々
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さて、昨日からの続きで。
あ、この横長のポスターと言うか幕は、帝国劇場内にかかっていたもの。
このディザイン、なかなか好きです。
ヨシオの出演作で『M!』『エリザベート』は、東宝のあの座長公演!っていう雰囲気のコテコテポスターの中にあって、ディザイン頑張っていると思います。

さて、昨日途中で力尽きた、ヨシオ以外のキャストの方々について。



まず、エリザベートの花總まりさん。
えー...と、私は花總さん、去年年初めの『モンテ・クリスト伯』とヨシオ・ファイナル公演の『M!』で観て(聴いて)、「ふ―――ん、宝塚出身の方で"歌える"っていうのは、これくらいのものなのかー」っていう淡白な感想しか抱かなかったのですが。
なので、今回のシシィ役が彼女だと知っても、「あー、まぁ…そうかぁ…」くらいにしか思わず、だいたいあのくらいだな、という予想しかしていなかったのですが。
実際に初日を観てみたら、その予想よりも…歌えていませんでした。
すみません、偉そうで。でも、そう感じたのだから仕方がない。
花總さん、きっと高音域が得意な方なのですよね。
だから、"私だけに"の、最後の歌い上げ
♪私がー 命ーゆだねるー それーはー わたーしだーけにーーー わたしにーーーー
のフレーズの、本当に最後の「わたしだけにー わたしにー」の部分だけ、がっちりきばってフルパワーで歌っておられて、そこは素晴らしかったのですけど。
それ以外の、低音-中音域が、本当にとても弱かった。
あと、お稽古頑張り過ぎたのか、若干、喉を嗄らし気味のお声をしておられたし。
そういう点で、ちょっと残念でした。
ソウルでシシィを演じているオク・ジュヒョンさんの歌声が恋しくなりました。
今度のソウル、この作品を観る予定はなかったのだけど、やっぱりジュヒョンさんの"私だけに"は聴きに行こう。
ただ、花總さんのお芝居はなかなかでした。
最初、10代(16歳かな)の少女として登場したシシィ、「あれ?幼少期だけ別の子役の子を用意したのかな?」って思ったほど、少女然としていました。
思わずオペラグラスを覗いて確認したら、ちゃんと花總さんでした。
42歳であの10代の女の子に見えるルックスと雰囲気、凄い!
で、その10代の何もわけがわかっていない女の子から、あれよあれよと言う間に皇太子妃になり、そして母になり、更には皇后になり―という女性の成長の様子を演じ分けて見せたのは、流石でした。
花總さんのシシィは、繊細でとても儚い感じがしますね。
東宝の日本初演からシシィを演じていた一路さんは、もっと強く、もっと"皇后様"オーラを放っていたので、かなり方向性の違うシシィだなぁ…と。
この辺りが、初演・再演の頃に一路さんのシシィに対してアンチのお客さんが多かった理由でしょうか。
花總さんのシシィとヨシオのトートの相性は良かったと思います。
お互い"強さ"で張り合わない二人で、不敵な笑みで、ノーブルな雰囲気を漂わせながら妖しくシシィにつきまとうヨシオのトートと花總さんは、陰となり陽となり、表裏一体だった感じがします。

ルキーニの育三郎くんは、期待半分不安半分だったのですが、ま、高嶋兄よりは確実に歌えるでしょう、と思って観たのですが、その通りでした。
と言うか、あのルキーニより歌えないということはまずあり得ませんね。
育三郎くん、今までになかった役柄にチャレンジ!だったと思いますが、こういうクセのある、アクの強い役をまずまず自分のものにしていたと思います。
これから回数をこなせばもっともっと役が馴染んでくるはず。
で、歌えているのですが、育三郎くんの歌って、何だか昭和歌謡の時代のアイドルっぽいですね。
何か、とても誰かに似ている気がしたのだけれど、それが誰だか思い出せない…。
あの昭和歌謡アイドルな歌は、苦手な人はとても苦手だと思うし、逆にあれが堪らないという人にはものすごくクセになる中毒性のある歌だと思います。
私はあんまり好みでは…ごにょごにょごにょ。
"キッチュ"とかのお客さんの乗せ方もまずまずでした。
お芝居はね、まだちょっと無理してる感がないわけでもないですけどね。

フランツ・ヨーゼフの万里生くんは、どこもひっかかるところなく観られたので、良かったのかな。
可もなく不可もなく、無難な感じでした。

あと、ゾフィーの香寿たつきさん。
若い皇太后様でした。
歌は相変わらずお上手なのだけど、とにかく若い!という気がして。
この役を演じられるのは、まだもったいないような気もしました。
カーテンコールの舞台挨拶で小池先生が「香寿は、宝塚の初演時にはルドルフを演じていましたから…」と仰っていて、え?そうだったのか、と。
宝塚時代のことは全然知らないので、びっくりでした。

そうそう、ルドルフで思い出しましたが。
"闇が広がる"のシーンで、ルドルフを唆すトートを演じ歌っているヨシオを観ていたら、じわじわとルドルフを演じていた時のヨシオの姿や歌声がフラッシュバックして来ました。
あの時はまだ東京芸大生で、これが舞台デビューで、ものすごく初々しくて。
あれはもう、15年も前のことなんだなぁ。
この初日のルドルフは古川雄大さんでしたが、その彼とヨシオのデュエットで二人の声が重なるのを聴いていたら、ヨシオがトートなのかルドルフなのかもよくわからなくなってくるような、不思議な感覚で。
二人ともほぼ同じくらいの身長だったので、尚更なんだか分身同士がデュエットしているような。
ヨシオと祐一郎さんで観た時には、圧倒的に祐一郎さんが大きく見えて、"死神が誘惑している"感が強烈だったのですが。
あの頃、ヨシオはインタビューで祐一郎さんに「ヨシオ、唇柔らかいな」って言われたことなんかまで語っていましたっけ。
15年も観続けて来たんだなぁと思ったり、ヨシオの舞台デビューに立ち会えたことは幸運だったんだなぁ…としみじみ感じたり。

そんなこんなな、新生『エリザベート』でした。
次は、公演閉幕近くに観に行くつもりです。
by bongsenxanh | 2015-06-15 00:42 | 観劇レビュ 国内etc. | Comments(2)
Commented by tomotomo1202 at 2015-06-19 09:21
早い~いかれたのですね。
楽しまれたようで良かったです~
私は今回、まあいろいろあり・・・まだ見ることが出来るかどうかも未定なんですが。とほほのほ。
で。
山崎君については、指摘がわかるんです、とてもとても。
ここに書くの弊害があると思うので別の場所に・・・もごもごもご・・・
Commented by bongsenxanh at 2015-06-20 08:02
♪ともきちさん

えぇ、行ってまいりました。幸運にも初日に^^
ヨシオの新たな挑戦が見られる&低音域に挑戦しているという点では見応えがあります。
個人的にはヴォルフを演っている時のヨシオの方が好きですけどねー。
役とのフィット感とか、いろいろ。
連日完売状態が続いているようですが、補助席と当日券の販売はあるようなので、もし機会があったらぜひ行ってみて下さい~。
育三郎くんについては別の場所で…ごにょごにょ(笑)


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