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『The False Mirror(偽りの鏡)』
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Rene Magritte(ルネ・マグリット/1898-1967) ワイエスの後でこれをどどーんと出すとちょっとびっくりされるかもしれませんが。マグリットもまた、私の好きな作家の一人です。シュルレアリスムの作家ですが、ダリほどの強烈過ぎる狂気の光は放っていません。その生涯も、ダリのようなパラノイアな面や奇行からは程遠く、銀行家のようなスーツに山高帽といういでたちを崩さず、台所の片隅にイーゼルを置き、キャンバスに向かう、"小市民"なものであった...ということです。ただ。この方はきっと、そうした現実に身を浸して"小市民"を演じながら、心の中ではいつも狂気の巨大なナイフのエッジを裸足でぺたぺたと歩いていたのだろう...と私は勝手に思っているのです。たぶん、慎ましやかな現実生活を送ることで、その自分の狂気を暴走させずに紙一重のところでつなぎとめていたのではないか、と。ダリがスペイン出身なのに対して、マグリットはベルギー生まれ・ベルギー育ちというお国柄や国民性も関係しているのかもしれません。ちなみに、マグリットの作品とダリの『記憶の固執』、MoMAでは同じ展示室に飾られています。
by bongsenxanh | 2006-06-28 01:42 | 美術 | Comments(2)
Commented by MARI at 2006-06-28 22:26 x
ダリの「記憶の固執」を初めてMoMAで見たときは、その小ささに驚いた覚えがあります。蟻が細かくてねー。ああこの人は変態だ、と思ったものです(笑)
逆にマグリットは意外に大きかった。絵のスケール感は、画集では全然わかりませんよね。
Commented by bongsenxanh at 2006-06-29 02:11
そうなんです、本当に小さいんですよね。
私も今回改めて観て、「なんて小さいんだろう!!」ってびっくりしました。
記憶の中にある(もう9年前の記憶なので錆び付いてますが)あの作品は、大きかったんですけど...。
あの「小ささ」にダリの偏執的なところが現れている気がしました、怖いよ、この人は...と(^^;)
今回、絵にガラスパネルが被せてあったので「あれ?」って思ったのですが、あれは前からああだったでしょうか?なんとなく、ガラスはなかったような記憶がちらりと残っているのですが...。


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