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PMFオーケストラ/名古屋公演 指揮:ワレリー・ゲルギエフ
ああぁ...今、躰中に音楽が溢れていて、例えは悪いけれど、何か物凄い媚薬を嗅がされたか、あるいは清朝末期の阿片窟にでも入り浸ってラリラリになっているかのような、そんな状態です。私の好きなO.P.Iのマニキュアの中に"Swirl of Euphoria(幸福感の渦)"というネーミングのカラーがありますが、まさにそんな気分。
今夜は久々にオーケストラを聴きに行って来たのです。生オケを聴く機会は結構あるものの、私の場合、それはオペラであったりミュージカルであったり、オケが主役のことはあまりありません。本当に久々のオケメインのコンサートでした。
オーケストラはPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)。
指揮するのはワレリー・ゲルギエフ!!
曲目はこちら。
●モーツァルト:ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191
[演奏]ダニエル・マツカワ(フィラデルフィア管弦楽団首席ファゴット奏者/PMF教授)
●ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)
●チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64



そもそもなぜ聴きに行こうかと思ったかと言うと、モーツァルトの『ファゴット協奏曲』がリストされていたから。『ファゴット協奏曲』ですよ!こんなマイナーな協奏曲、そう滅多に生では聴けません(レア物好き・笑)。そして、ゲルギエフの指揮による『ペトルーシュカ』とチャイコの『交響曲5番』。このプログラムを見逃す手はありません。もちろん、飛びついた私。名古屋を飛ばさないでくれてありがとう(; ;)
PMFは、故レナード・バーンスタインの呼びかけで1990年に始まった若手音楽家の育成を目的とした音楽祭です(オフィシャルwebはこちら)。つまり、指揮のゲルギエフと、ファゴットソリスト以外はすべてアマチュアの若者ばかり。毎年メンバーは変わりますし、オーディションで選ばれた優秀な音楽家ばかりとは言え、やはりプロではないのでなかなかスリリングです。
しかし!今日の演奏は素晴らしかった!!ピピッ!とカンが働いてチケットを取った私、偉かった!(自分で言うな?) ゲルギエフ~~~!!あなたは本当に素晴らしい指揮者だわ!!ブラヴォー!!いや、ハラショー!!と言うべきか?
あぁ、多くを語りたいような、でも何も語らず、ただ自分の躰の奥で響き続けているオケの余韻に浸っていたいような気持ちです。ファゴット協奏曲ではソリストのダニエル・マツカワさんにほぼ任せっきりな感じで「わしゃ、聴いてるよ。キミの好きなように吹いてくれぃ」という雰囲気で控えめに振っていたゲルギエフ(蝶が舞うかのようにひらひらと振る両手が華麗でした)。しかし、『ペトルーシュカ』と『交響曲5番』は...!!ゲルギエフの本領発揮!メインディッシュ以上の恐ろしいまでにゴージャスなご馳走が二品も出て来たようでした。ほあぁーーー。『ペトルーシュカ』は果てしなく楽しく、そして悲しくて(この曲、フルートにもオーボエにも、クラリにも、バソンにも、パーカスにも、ペットにも、トロンボーンにも...すべてのパートに見せ場があるので音楽祭の総仕上げにはもってこいの曲ですね)、『5番』は...途中からラリラリで思考能力が吹っ飛んでしまいました(爆) 第2楽章の美しさ・流麗さに涙ぐみそうになったり、第3楽章のワルツではゲルギエフも踊っているかのように見えたり、そしてフィナーレの第4楽章。熱に、とても熱いものに、全身を包まれて沸騰してしまったかのようでした。ところどころ、金管系が不揃いだったり、オケ全体として少し乱れたり、ということがないわけではなかったけれど、それでもそんな細部は気にならないほどの、熱狂の響きでした。汗びっしょりのゲルギエフ。垂れてくるバーコード状態の前髪を時折掻き上げるのを見るたび(私の席はオケの斜め後ろだったので指揮が前から見える)「ああぁ、ぱっちん留めで留めてあげたい...!」と思ってしまったり(笑) 渾身の指揮でした。ゲルギエフは、タクト(指揮棒)を使わないで、ひらひらの両手で自由に指揮しますね。そしてやはり、ロシアンだなぁ...と。『ペトルーシュカ』も『5番』も、これぞロシア音楽!という真髄を聴かせてくれました。
ほあぁーーーーー。躰が音楽に包まれる喜びをめいっぱい堪能しました。公演後、クラシックマニアらしい爺さま二人(いるんですよ、こういう方たちが必ず)が「ゲルギエフ、すごいねー!あのペトルーシュカ、何?!今年のホルンの主席、うますぎるねぇ」と、声を引っくり返して喋っていらっしゃいましたが、わかるわかる、その気持ち!!(笑)
拍手を受ける時に、ゲルギエフが各パートの主席を一人一人立たせて、拍手を送らせていましたが、その姿を見て、あぁ、やはりこれは若手育成のためのイヴェントなんだな、と改めて感じました。ゲルギエフじいちゃんがまるで自分の孫たちを育てているかのような光景でした。ロシアでもがんがん活躍して(マリンスキー(キーロフ)芸術監督兼総裁)、来年からはロンドン交響楽団の主席指揮者に就任するし、更に各国のオケにも客演して、こういう音楽祭にも精力的に参加して後進の育成に取り組んで...ただただ、感服するばかりです。また、日本に来てください。
明日8月3日に、東京のサントリーホールで最後の公演があります(オケの皆さん、ハードスケジュールですね)。おそらくチケットが余っている気がするので(今日もちらほら空席が...)、お時間ある方はぜひ足をお運びください。

Wed 2Aug.2006 愛知県芸術劇場コンサートホール
by bongsenxanh | 2006-08-03 00:59 | 音楽 | Comments(0)


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