プレビュー中だったので日曜の夜公演があった『The Apple Tree』(通常、BWではほとんどの作品が日曜の夜は公演がないのです)。私が予約した直後にDiscountが出る、という悔しい思いをしつつ、フルプライスで買ったミドルメザニンで観ました。私がこの作品を観よう!と思った理由はただひとつ!そう、Kristin Chenoweth主演だからです!!『Wicked』の時はChenowethの降板までに観に行けずに涙を飲んだので(Idinaはいた)今回こそは生Chenoweth!!とかなりの気合で臨みました。プレビュー中ならu/sの可能性も低いだろう、とも思って。この作品、新作ではなくてrevivalです。初演は...1966年?ミュージカルではよくあるニ幕構成ではなく、『The Diary of Adam and Eve』、『The Lady or the Tiger?』、『Passionella』から成る三部構成です。
上演しているStudio54は...はっきり言ってあまりいい劇場ではありません。同宿のRさんから「あそこは元はディスコだったのよ」と聞きました。古くてだだっ広い上に、内装もなんだかぼろっちいし、防音も悪くて外でパトカーがウーウー鳴らしているサイレンの音とかばりばりに聴こえます(これはBWの他の劇場でも言えることですが)。私が劇場へ入って席へ着いたのも開演ぎりぎりの時間だったのですが、他にも遅れているお客さんが多かったのか、舞台側の準備が整わなかったのかわかりませんが10分強押しくらいで始まりました。 第一部は『The Diary of Adam and Eve』。世界の創世記、禁断の実を食べたアダムとイヴのお話です。とってもかわいらしいストーリーです。が、これ、キリスト教圏の人間なら当たり前にわかるお話だったりパロディだったりするのでしょうけれど、聖書をきちんと読み込んでいない非キリスト教圏の人間(つまり、私だ)が観てもいまひとつわからない部分も多かったです。周りがみんな笑っているギャグで笑えなかったり、ね。それにしてもイヴを演じるKristinはかわいい!!確かもう38?のはずなのに、あのかわいさは何なの?!というくらい。この作品はまさにKristinのあのキュートさあってのもの、という感じがしました。彼女に負っているところが大きいんですね。そしてスコアも、もっと古い感じがするかな?と思っていたら、意外に耳に残るいいスコアが多かったです。この一部でイヴが歌う"Here in Eden"やアダムに扮するBrian d'Arcy Jamesが歌う"Beautiful,Beautiful World"や。『RENT』みたいなRock-Pops路線のナンバーを求める人には物足りないでしょうけれど。そして上記二人ももちろん素晴らしいのですが。歌声に耳を奪われたと言えばこの人でしょう!Marc Kudisch!!!この一部では彼はたった1シーンしか出番がなくて、その1シーンで"The Apple Tree(Forbidden Fruit)"というナンバーを、イヴに誘惑の言葉を囁くSnakeとして歌うのですが、もうこれが...とろけそうになるほど艶やかで素敵な歌声で!!低く、黒光りしているかのようなゴージャスなバリトンのお声なのです。くらくらきます。一気に耳を奪われました。Marc Kudischの声は、時にセクシーで、強弱のつけ方も抜群で、こう...耳に特別な媚薬を注がれたような感じがするのです。あぁ、そうか、私はバリトンの美声に弱いのね...と初めて気づきました。Aaronしかり、Samuel Rameyしかり、そしてこのMarcしかり。Marcは歌声だけでなく、存在感も圧倒的で素晴らしかったです。 第二部は『The Lady or the Tiger?』。これは昔からよくある二者択一の選択がテーマのお話で「もしもこちらを選んだら...?」という少し不条理劇っぽいお話ですね。うーん、大して心に留まるシーンや耳に留まるナンバーもなく...。王女に扮したKristinの見せ場はあったのですが、印象としては今ひとつ。 第三部『Passionella』。私はこのパートが一番気に入りました。一部同様、とてもかわいらしいお話なのですが、この三部の方がKristinの魅力満載!!という感じでした。チム・チム・チェリーみたいなスス払いの仕事をして生活している女の子Ellaがいる。貧しくて仕事に追われている彼女の唯一の楽しみは夜、家に帰ってTVで映画を観ること。「映画スターになりたい!」と、叶わぬ夢を抱いていたりする。それがある日突然、魔法で映画スターになってしまう。喜ぶElla。ゴージャス美女に変身したEllaは今や"Passionella"。でも、本当の私は――?というお話。よくあるお話ではあるのですが、これ、Kristinが演じると本当に生き生きしていて、Ellaというススに汚れた女の子も、Passionellaというゴージャスちゃんも、どちらもこの上なく魅力的に見せてくれるのです。すごいです、本当に。あなたのためにある舞台なのね、これは、と言いたくなってしまうようなきらきらぶりです。歌だけでなく最高のコメディセンス!Ellaが映画スターになりたいわ~♪と歌う"Oh,To Be a Movie Star"というナンバーなんて本当にかわいくて!わざと音を外して、かすれた震えた声で♪ムゥーーー...ヴィ~ スタァー...~~~って歌うところなんて、下手に歌っているのにそれがまたものすごくうまい!というとんでもない芸を見せてくれました。彼女は確かに"天賦の才能"というものを与えられて生まれてきた人なんでしょうね。凄かった...。そして、この三部ではナレーター役になるMarcもまた素晴らしくて。あぁぁ、あのGorgeous Baritone、いつでも聴けるように手に入れたいっ!!朝、あの声で「おはよう」を言ってもらって、夜眠る前には「おやすみ」を言ってもらえるのならMarcと結婚してもいいっ!!(オイ>自分)と、ものすごい妄想の風呂敷を広げてしまったくらいでした(笑) めろめろ。とろとろ。本当につやつやの素敵なお声なんです、Marc。そう言えばMarcとKristinは婚約していたんですよね、別れちゃったそうですが。結構お似合いだと思うのにもったいないですねえ。ま、いろいろあるのでしょうけれど。あ、三部の最後にはBrianもいたんでしたっけ。いや、もちろんBrianも歌うまかったですけどね。私の好みにヒットしなかったというだけで。このキャストでCD出してほしい!と思いました。3月までの限定公演だから、ムリかなー。作品としては小品ですしね。セットも凝ったものはなくて、シンプルですし。 Marc KudischがBroadway.comで書いていましたが(これを読んでますますMarcに惚れました)、この作品に流れるテーマというのはTemtation(誘惑)なんですね。それといかにつきあうか。それをどうやってコントロールするのか。自分にとって一番大切なものは何なのか。どかーん!!と感動の嵐に襲われる、ということはまずない作品だけれど、観て良かったな...と、ほっこりした気持ちになって劇場を後にしました。それにしても、Kristinって本当にちっちゃいですねー(上の写真参照)。150cmくらいしかないんですよね?それであれだけ舞台のすべてをさらっていける魅力をふりまけるというのは本当にFabulous!!!の一言に尽きます。 追記:Marcがずっと前に『B&B』でガストンを演じていた、というのを読んで、あれ......?と、何かひっかかるものがあって、初めてBWに行った時(1997年)に観た『B&B』のPlaybillをめくってみたら!そこにはしっかりMarcの名前が!!しかもMarcのヘッドショット、若~~~い!!!あぁ、そうか、私とMarcはこんなにも昔から赤い糸で結ばれていたのね...と思いました(違うだろ)。ガストン、どんなだったかさっぱり記憶がないのですが(^^;) ちなみにその時のルミエールはなんとくねくねおばさんことGary Beachでした!!これまたびっくり!!そうか...私、Garyともかなりのご縁で結ばれていたのね...。 Sun Evening Dec.3 2006 Studio54
by bongsenxanh
| 2007-01-20 01:37
| 観劇レビュ NY '06/'07
|
Comments(9)
>Studio54
60年代、70年代にはNYでもアングラ・・・というかサブカルの象徴のような存在のDISCO(というか今で言うクラブ)だったようです。 カポーティ、ウォーフォールやその他ゲイ・ピープルがお相手を探す場所でもあり、ヘロインやコカインの売人が跋扈するような、HIPだけどいかがわしい店として有名だったんですよ。 そういう背景を知っていましたので、Three Penny・・・をここで観たときはそれなりに情趣がありました(笑) 以上、どーでもいい雑学です(こんなことばっかり詳しいって・・・)
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quast at 2007-01-20 16:03
ふえさん、お目当てのKristinにあえてよかったですね。Marcにもほれちゃった?なんかYoung Frankensteinに二人で共演するみたいじゃないですか。また楽しみが増えましたね。
ところでピアッザの翻訳公演やるみたい~って聞きました? どこぞの翻訳公演みたいに歌だけイタリア語~でしょうか?(笑)
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bongsenxanh at 2007-01-20 20:40
♪MARIさん
さすがはMARIさん!!Studio54はそういう歴史のある場所だったんですねー。知りませんでした...。カポーティはそう言えばあの自伝本が今手元にあります。そういうことも絡めて読んでみます~。 いろんなことを知っていると、その分いろんな思いで演劇でも美術でも音楽でも味わうことが出来るんですね~。
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bongsenxanh at 2007-01-20 20:48
♪quastさん
えぇ、生Kristinは本当に観られて良かったです!! あのコメディセンス、素晴らしいですよね~。歌は言うまでもなく。 Marcは...はい、惚れましたです(笑) だってあの美声~~~!!そう言えば、Marcにめろめろになったよ~んって思わずあーろんに白状してしまいました(笑) いや、めろめろになったよ~んとは言いませんでしたけどね(^^;) でも、KristinにしてもMarcにしてもStage doorで会いたいとは思わないんですよねー、不思議と。舞台で素晴らしい演技を見せてくれればそれでいいんです。 Piazzaの翻訳公演のことはquastさんのところでもちらりとコメントした通りなのですが。現実になってほしくなかったです。私にとっては悪夢のようです...。日本語訳も日本人キャストも、オケも、演出も、何もかもが考えるだに恐ろしいです(^^;) イタリア語、どうするんでしょうね?それにFabも...。じゃ○ーずのワカモノがやるんじゃないかというとんでもない噂まであったりして。どうなることやら...。あ、シルヴィアさんはFabのママなんじゃないかしら?と私は思っているのですが。あの役、ハイCが歌えなきゃいけませんし、年齢的に言ってもそうじゃないかなー、と。
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bongsenxanh at 2007-01-20 21:16
quastさん:その2(笑)
そう言えばここのとこ、やたらとPiazzaで検索して来る人が多いみたいなんですよ...。たぶん、翻訳公演正式発表の影響なのではないかと思います。はぁ...(ため息)
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quast at 2007-01-26 03:52
ふえさんは3月にも渡米するかもっておっしゃっていましたよね。
MarcはTATを降板してCity OperaのPirates of Penzanceに出てますよ。エアブラシのかかっている(笑)扮装姿かっこええです。 ただ上演日がマチマチなので気をつけてくださいね。 http://www.nycopera.com/browse/production.aspx?prod=37 これはミュージカルというよりオペレッタなんですが、コミカルでばかばかしく私は好きです。数年前の観劇レポ書いてありますから、よろしかったら読んでみてください。
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bongsenxanh at 2007-01-26 20:37
quastさん、ありがとうございます。
確か11月頃に発表があったんですよね>Pirates~ Marcも自分へのインタビューとかで答えていましたし。 うまくいけば観られるかもしれないと楽しみにしておりました。 Pirateの格好したMarc、すんごくカッコいいですよね!!! あのニヤリと笑ってる表情とか!!!(やっぱり惚れてる...笑) まだエア(マイレージtkt)の復路がwaitingなのでどうなるかわからないのですが...なんとか空きがあがってきてくれるといいなぁ。 泊まるところもどうなるかちょっと雲行きあやしいのですが(^^;)
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at 2007-01-28 16:29
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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bongsenxanh at 2007-01-28 19:52
鍵コメさま
情報ありがとうございます。うーん、私の利用するキャリアは1経路でもCXL待ちでひっかかっている時にはその方法は取らせてもらえないんです、残念。最後のNRT-NGOが特にあがって来にくいんですよね。行けるといいのですが...
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by bongsenxanh
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