今日これから(NY時間April22)、AaronのEnjolras最後の幕が開きます。彼は今日で『Les Miz』を降りるのです(Aaronだけでなく、Celia keenan-BolgerもNorm Lewisも)。少ししんみりした気持ちで、先日の第1回目『Les Miz』の観劇レビュを。
NY到着日。lunchを食べて少しだけ仮眠を取ってから劇場へ向かいました。お席は今までの中で一番良席の5、6列目センターブロック。AMEX入っておいて良かった...(笑) ディスカウントでAMEXメンバー優待席が取れたのです。ちょっと右寄りの席なのが不本意ではありますが。Aaronをじっくり見るなら左寄り...(しつこい?) あ、でも逆さ吊り@バリケードは右の方がいいかな。 今回はストーリーや前説なしでいきなりキャストの印象にまいりましょう。何しろ今回のリバイバルを観る&書くの、もう4回目ですから。そしてもちろん、Aaronからです。が。Aaron、実はこの日、あまり調子良くありませんでした。声が伸びないし、ところどころ枯れてるし。どうしたの?と思っていたら、幕後に会った時に「昨日コンサート(Town HallでHugh Panaroなどと共演した"Broadway By The Year1938")があって、とってもいいコンサートで目いっぱい歌って喉も使い過ぎたから...今日はダメだった」とあっさり白状しました。プロフェッショナルなんだから、ペース配分考えましょう、あーろんさん。って思いましたが、それはそれ、素敵なコンサートだったみたいで良かったわねー!私も行けたら良かったのに!!と応えた私。えぇ、ファンですので(笑) 1幕よりは2幕の方が良くなっていました、喉の調子。あ、♪Do you hear the people sing?のところ、歌い方を変えていました。前は台詞を噛みしめるみたいにしてレチタティーヴォ気味に歌っていたのですが、それをやめてメロディラインに乗せて普通に歌うようにしていました。前の、評判が良くなかったのかしら?私はあの歌い方も気に入っていたのですが。半年演じている間にいろいろ試行錯誤したのでしょうね。 そう言えば珍しくNormの調子も良くなかったです。NYはすごく風邪が流行っていたので、役者さんたちも喉の管理が難しい季節だったのかもしれません。冬から初春への季節の変わり目ということもあり。 そしてアンサンブル。とても粗くなっていました。雑になっていました。あぁ...openしてから月日を経ると、こんな風に崩れていってしまうものなんだ...と思いました。なんだかアンサンブルの役者さん同士がお互いよくない相乗効果(よくない相乗効果って正しくない日本語ですね)を与え合ってどんどん悪くなっていっている、という感じがしました。うーん、残念。 その中で主役バルジャンのAlexsanderはひときわ良かったです。彼のバルジャン、各所で不評ですが、"若い"ということを除けば、私はとてもいいと思っています。と言うか、"若い"ということはこの役を演じるに当たっては十分致命傷になってしまうのでしょうか?でもAlex、とても頑張っていると思うのです。声も、12月に観た時よりも更によく伸びるようになっていて、1幕最初の方で司教のところから銀の燭台を盗み出した自分の罪を歌う"What Have I Done?"とか、"Who Am I?"とか、鳥肌が立つような素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。演技も、リトル・コゼットを引き取りに行ってテナルディエ夫妻から彼女を救い出した後、コゼットがだだだ・・・と走ってきてバルジャンに飛びついて抱きつくところでの声をあげての喜び様とか、もう全身からコゼットに対する愛情が溢れ出していて、とてもとても人柄の善いバルジャンなのです。いいなぁ、と。若くして(20代ですからね)この役をやることになったのは、もしかしたら彼にとって不運だったのかもしれませんが、でも私は彼のバルジャン、好きだと思いました。出来れば、あと10年後に、もう一度観たいです。で、Alex自身もとても人が善いというか、己の分をわきまえているshyな人なんですよね。Backstageで会った時にサインをお願いして、感じたままに「今晩のあなたは本当に素晴らしかったわ!」と言ったら、目を丸くして驚いたようなはにかんだような顔をして、「Thank you,Thank you!!!」と心から感謝したように言っていました。慎ましい人だなぁ、と。そして彼の方から私に「Have a good night!!」と言ってくれて。主役なんだからもっとどっしり構えていてもいいような気がするのに、全身から謙虚さが漂っていました。 そしてCelia演じるエポニーヌ。この日のBest Actor(Actress)賞は彼女かDrewか...でもやっぱり彼女に!!というくらいのエポニーヌでした。"On My Own"も良かったけれど、何より死を迎える"A Little Fall of Rain"のシーンが凄かったです。この日のCeliaには何かが憑いていました。Celiaのエポニーヌを観るのはもう4回目だったのですが、でもこの日だけは何かが違って特別でした。マリウスの腕の中で「これで良かったの...」と言いながら死んでいくCeliaの姿に涙がじわじわ出てきました。それは私だけではなくて、私の周りのお客さんもほとんど皆、泣いていました。それくらい凄かった。そして!そのエポニーヌの死の間際のキスをよけるマリウスにどうしても納得がいかなかったのですが!!と言うか、怒りすら覚えたのですが、私は!!こら!なぜそこでよける?!エポニーヌはアンタのためにお使いに行って、そしてその帰りに銃弾に倒れて今まさに死に逝こうとしているのでしょう?!それなのにアンタはその彼女の必死の思いの最後のキスをよけるのっ?!死に逝く者への人間としての慈しみさえないのっ?!許せんっ!!男の風上にもおけないっ!!人道にも悖る、このヘタレ男がっ!!!と、怒髪天を突く状態でした(すみません、興奮していて^^;)。私、日本で初めて『レ・ミズ』を観た時(もう十数年前)からマリウス嫌いでしたが、今回これでますます嫌いになりました。エポニーヌもコゼットもどうしてあんなのがいいんでしょうね?話が逸れましたが、Celiaが素晴らしかった!ということで。残念ながら私がCeliaを観られたのはこの日だけでした。水曜以降はずっと休演していたようで。終演後に恋人らしき人とすごく仲良さそうに肩を組んで抱き合って帰って行ったので、もしかしたらどこか旅行にでも行ったのかもしれませんね。ちなみにCeliaはいつもものすご~くいい満面の笑顔でお客さんと接するとってもキュートな女優さんです。いつ会ってもとびきりのスマイルを見せて、必ず何か声をかけてくれました。 今回の目玉!Lea Salongaのファンティーヌ。今回私がNYへ行ったのは、降板する前にもう一度Aaronのアンジョルラスを観るということもありましたが、Leaのファンティーヌを観たい!!ということも大きかったのです。Leaが歌うのを聴いていて、あぁ、やっぱりこの作品は歌えてなんぼ、のミュージカルなんだなぁ...と、つくづく思いました。やはりDaphneは完全なるミスキャスティングだったのですよね。あれはただの話題作りだったのかなぁ?この作品では、歌えるキャストでなければ意味がないのです。と言うことでLea、本当に歌はうまいです。聴き入りました。でも...正直なところ、ファンティーヌとしてどうなのか、よくわかりませんでした。すごく贅沢なことを言っているのは自分でもわかるのですが。時々、「ファンティーヌじゃなくて...大っきくなったキム?」とか思ってしまう自分がいたり。やはりあれだけ鮮烈なデビューをしてしまうと、どうしてもその役のイメージで見られてしまうということなのかもしれませんが。どうもファンティーヌとしてのLea、というところが、私の中でうまく腑に落ちなかったのです。でも、歌は文句なしにうまい。"I Dreamed a Dream"では、うるうるきましたから。Leaについてはまた2回目、3回目でも書きます。 最後にDrew!いやぁ、もう...。私、Drewのファンなんじゃないかと思いました(笑) それくらい、彼に目を奪われまくりました。Drew、すごく目を引くのですよね。やっぱりかっこいいですし、それに長身で(あーろんより高い)、常にきっちりとても細かく演技をしているのです。グランテールではなく、他のシーンで労働者とか酔っ払い客とかのアンサンブルを演じている時でも。彼ほど精巧で緻密な演技をしている役者さんは他にいないと思います。グランテールの時もガブローシュに対して、アンジョルラスに対して、本当にしっかり役に入り込んで、他のキャラクターとの関係性を演じていて。「死ぬのなんてムダじゃん?」という"Drink With Me"を歌っている時の表情演技や、その後にアンジョルラスに何か耳元で囁かれてふっと表情をゆるめたり少し驚いたような顔をして見せたりする演技も抜群。ここ、アンジョルラスはかなり長めにグランテールの耳元で囁くのですが、マイクはonになっていなくて何を言っているかはわからないのでずっと気になっていたのです。で、あーろんに訊いてみました、あそこ、何を囁いているの?と。あーろんの答え:毎晩囁くことは少しづつ違う(だからアドリブってことなんですね)。でも、だいたい、「グランテール、おまえの命とこの市民たちの命、どちらが重いんだ?何をすべきなんだ?」というようなことを囁いている。とのことでした。ともあれ、AaronとDrewのからみは私としてはとっても嬉しいシーンだったりします(笑) そしてバリケード。ここでもDrewの演技が光っていて。ついに自分たちの敗北を悟って、それでも最後の抵抗と理想としてアンジョルラスがバリケードの頂上で赤い旗を振り始めると、グランテールは「アンジョルラ~~~~~ス!!!」って絶叫して、バリケードをアンジョルラスの元へと駆け上がっていくんですね。でも、それも空しくアンジョルラスは銃弾に倒れてバリケードの向こう側へと落ちて行ってしまう。そこでようやく、今までまったく戦闘には参加していなかったグランテールが、その手に銃を持って戦い始める。そしてそのグランテールもまたすぐに銃弾に倒れ。ここの一連のグランテールの感情の変化が、Drewの演技からはしっかり伝わってきて。Drewのグランテールが、アンジョルラスに反発したり皮肉ったりしつつも、その実、理想家のアンジョルラスへの憧憬みたいなものを持っているのだということも感じ取れて。Drew、凄いなぁ...と、ため息をついたのでした。歌えるだけじゃないのですよね、Drewは。もちろんルックスがいいだけでもなくて。本当に惚れちゃいそうでした。Drewの演じるジャベール、観てみたいなぁ。5月11~13日に演じるそうです。 ところで、このバリケードでアンジョルラス=あーろんが死んじゃった後、途端にものすごい睡魔に襲われたのですが。ゲンキンですか?あーろんが舞台からいなくなった途端に、どうも興味が薄れたらしいです(^^;) あ、でも結婚式シーンでのウェイター姿はちゃんと観ていましたよ! もうひとつ。Gary Beachのテナルディエ。私は好きなんですが。ただ、ここまで愛され過ぎるテナルディエというのも、見方によってはNGなのかしら?とも思いました。Gary、バリケード崩壊の後に死体を担いで歩くとこ、自分で死体を担いでいませんでした。手下に担がせていました。やはりGaryくらいの年になると、人一人肩に担ぎ上げて歩くのは無理があるのかもしれませんね。お体、大切に。 ということで、まずは第1回目の『Les Miz』でした。 Tue Mar.27 Broadhurst Theatre
by bongsenxanh
| 2007-04-23 01:29
| 観劇レビュ NY '06/'07
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Comments(2)
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Kcouscous at 2007-04-23 16:32
わはは。ふえさんの観劇レビューは本当に面白いです。ここまでのめり込むか?!という感じで(^^;)。深く理解し、すべてを味わい尽くすためには、その熱さ、どっぷり感が大事なんだなあとつくづく思います。
私はミュージカルというとロンドンものと四季ものをいくつか見ただけですが、どれもふ〜ん、という感じで終わってしまったので、なおさらそう思います。もう感心しきって拝読しておりますよ〜。
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bongsenxanh at 2007-04-23 23:54
♪Kecouscousさん
え?そうですかー?>ふえさんの観劇レビューは本当に面白いです ありがとうございます~! と言うか、観劇レビューはいつも「舞台観てない人にとっては何にも面白くないトピックなんだろうなー、誰か読んでくれてるのかなー」と思いながらも、半分以上自己満足で書いてますので(^^;)Kcouscousさんにそんな風に言っていただけると本当に嬉しいです。確かにちょっと常軌を逸してのめり込んでいるかもしれませんねぇ(笑) おぉ!ロンドンものと四季ものをいくつも観ていれば、もう立派にシアターゴーアーに片足突っ込んでいますよ!!ささ、もっとどっぷりとこちらの世界へ・・・(笑) いい作品を生で観るのって、いい本にどっぷり浸かって読むのと同じかそれ以上のものが味わえますよ~!!
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