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『The Phantom of the Opera』 笑いました...。
『The Phantom of the Opera』 笑いました...。_a0054163_18275631.jpgまた『The Phantom of the Opera』なんです。だって、まだHoward McGillinさんが登板しているんですもの。毎回行く度に「今回こそHowardファントムの観納め...!!」と思って気合を入れて観るのに、次にNYへ行くとまだ続投していらっしゃるのです...。いえ、嬉しいのですけどね。というわけで、通算6度目のHowardファントム。もうさすがに筆も尽きてきましたので、レビュとしては初めてHowardファントムを観た時のものの方がご参考になるかと思います。さて、今回も『Les Miz』中心に予定を組んで、上演日が限られているMarc Kudischの『The Pirates of Penzance』、『Spring Awakening』、『The Fantasticks』...と埋めて行ったら、『Phantom』を入れられるのは水曜マチネだけになってしまいました。u/sの危険性のある水曜マチネに入れるのは避けたかったのですが、已む無し。祈るような気持ちで劇場へ行きます。



Playbillを受け取って中を見ると...白い大きな紙が。ぎゃぁっ?!と一瞬思ったものの、カルロッタの代役アナウンスでした。良かったー。Howardさんは無事に出演されていました。私のお気に入りラウルのMichaelも。
それはさておき。この日はですね、私の背後にびっしりスクールキッズのお子様たちがいらっしゃいまして。推定年齢小学校高学年。それはそれはたいそうかしましゅうございました。はい、わたくし、劇場でお子様の団体と一緒になるの、大っ嫌いでございます(^^;) マナーが守れるのならいいんですけどね、まぁ、大抵はそうでないことの方が多いのですよね。この日のお子様たちも四六時中何か喋ってるわ(開演してからです!)何やらぽりぽり食べてるわで、本当にうるさかった!案内係のおばさまが時々注意していましたが、聞きはしません。あぁ、今日は客席がハズレだわ...とうんざりしながらの観劇でした。(と言うか、総じて『Phantom』は客席がハズレのこと、多いです。他の作品に比べても。観光客が多いからでしょうかね...)
ともかく、1幕が始まって。ハンニバルのリハーサルの後、クリスティーヌが歌い始めた時でした。一瞬、我が耳を疑いました。んん?なに、今日のクリスティーヌ?このヒドイ歌は誰?!今日のクリスティーヌ、u/sだったっけ?と思って、思わずPlaybillを確認してしまいました。間違いなく、PrincipalのJennifer嬢でした。どうしちゃったの、Jennifer?去年の6月に観た時にはあんなに歌がうまいと思ったのに。あれは幻だったの?AlternateからPrincipalになったら慢心して芸が荒れた?と、頭の中で「?」がぐるぐるしてしまいました(^^;) いやぁ、でも本当に聴くに耐えない歌で、演技も粗くて気が強くて馬鹿っぽいし(いや...クリスティーヌはね...もともとちょっとそれっぽい役ですけどね)ちょっといいとこなしでした、この日のJennifer嬢は。まぁ、いいや(いいのか?)。カルロッタもu/sでBooooh!!でした。
一方、Michaelは相変わらず、チャーミングで素敵(贔屓目?)。高音で少し声をひっくり返して歌うところもセクシーでたまりません。ぽってりしていて坊ちゃんぽくて、八重歯もかわいい(笑)
そして、Howardファントム。今日のHowardさんは両性具有という感じがしました。どちらも、持っている。シーンごとにどちらかが顔を出す。Howardさんはこれを使い分けているのでしょうか。それとももう、考えずとも自然にそれが演技となって出るのでしょうか。どちらにしても、凄いです。1幕のラスト、オペラ座の屋上で愛を誓い合うラウルとクリスティーヌの姿を見て、エンジェル像の上で嘆く演技はとりわけ"女性"のそれでした。それと同時に、この日は全体を通して老いを強く感じさせる演技でもありました。歌も。Howardさん自身の歌声が老いている、ということではなくて、あくまでも役として説得力を持って感じさせる、ということです。そのくせ、カルロッタの歌声を"カエル"に変えた時はやけに嬉しそうなんですよね(笑) もう本当にすんごく楽しそうにワハワハ笑うのですよ、この人は。そんなに楽しいですか!!って感じでした。やはりですね、Howardファントムは駄々っ子で放っておけなくて、構いたくなる感じ。これは初めて観た時の印象から変わっていないです。構おうとして手を差し伸べても、きっと撥ね退けられてしまうでしょうけれど。
そして。前述したお子様たち。あらゆるシーンでいろいろうるさかったのですが。1幕のラスト近く、オペラ座屋上でラウルとクリスティーヌが愛を誓い合う"All I ask of you"を歌うとこですね。ここで二人が♪Love me―――that's all I ask of you~......と歌って顔を近づけてキスしたその瞬間!お子様たちが大喜びしちゃってくすくす笑いとヒュ~~~~~ッッ!!!という喚声と共にやんやの拍手喝采が巻き起こって。私はかなりしらけ切ってしまったのですが。本当にガキだねぇ、君たちは。キスくらい君たちだって日常的にしてるんでしょうが。と思ったり。一応、甘~いラブシーンのはずなんですけどね、ここ。舞台上のMichaelとJenniferも苦笑を漏らしていました(^^;) そりゃ、笑っちゃうよね、ここであんな風にはやしたてられたら。しかし。役者さんはやっぱりプロフェッショナルなのでした。1枚も2枚も上手なのです、お子様たちより。特にMichaelがね!なんとこの後、一度体を離して抱きしめ合った後の、二度めのキスの時に、Michaelは「ンムムゥ~~~~~~~~~~~~~ッ!!!」と喉の奥で声を出しながらキスしたのでした。文字でうまく音を表せないんですけど...わかります?投げキスする時に「んまっ!」って声出すのの、もっと長音バージョン。Michaelったら、悪ノリしやすいと言うか、おちゃめと言うか、サービス精神旺盛なんだから。私、目が点になりましたよ(笑) ちょっとあの、ロマンティックというのからはかけ離れていると言うか。むしろ二の線を狙っているかのような。あのキスシーンで声出しながら盛大なキスをするラウルなんて初めて観ました。そう言えばMichaelは前にも舌入れてすんごい濃厚なキスしてた時があったし...。やはりGの方はその辺、ノリやすいと言うか、やるとなったらとことんまで!毒食らわば皿まで!(違うか)ってところがあるんでしょうかねー。お子様たちの鬱陶しさも忘れて、笑っちゃいました、私。Michael、面白いもの見せてくれて、ありがとう(笑)
2幕は。うーん、Jenniferのクリスティーヌが難あり。丸っきり現代っ娘なんだものなぁ...。クリスティーヌってもう少し儚さそうなイメージよね...。歌もなぁ。私の大好きな墓場シーンですら、もうクリスティーヌが邪魔に思えて仕方がありませんでした。去年の6月に観たJenniferは幻だったのでしょうか...。Howardファントムに「そんなクリスティーヌでも、好き?」「本当に好き?」「もうルーティーンだから仕方ないの?」とか訊きたくなってしまいました(意地悪な私)。そんな状態だったので、"The Point of No Return"もデュエットとしての美しさは感じられなくて、ひたすらHowardさんの歌と演技のみに集中して観ていました。Howardさん、歌うますぎ...。そしてものすごい起伏の激しさ。これがやはりこの人の魅力なんでしょうね。ラストシーンで、ファントムが闇に消えて行くところで、玉座に座って自分の姿を隠すために黒い大きな布を被せるのですが、あそこに至ってもまだなお、Howardファントムは自分を追って来る人影にビクッ!と怯えるのです。この細部まで行き届いた演技が圧巻。この人あってこそのこの作品だなぁ...と改めて思いました。彼がファントムを降りてしまったら、私はもうたぶんB'wayでこの作品を観ることはないでしょう。
なんて、感傷に浸っている私の余韻をぶっ飛ばすかのように、幕後のドネイション(Broadway Cares/Equity Fights Aids)では、Howardさんはコメディアンみたいなテンションの高い素晴らしいスピーチを披露してくださいました。自分のソロCDを嬉々として売り込む姿はまるで叩き売り商人のようでございました(笑) そんなHowardさんもお素敵なんですけどね、あんなシリアスドラマの後で...と腰が抜ける思いも致しました。
ちなみに今回、このBC/EFAのドネイション・スピーチ、他作品でもNorm LewisのやLea Salongaの、はたまたJohn Gallagher Jr.くんのスピーチが聞けて嬉しかったです。

Wed Matinee Mar.28 2007 Majestic Theatre
by bongsenxanh | 2007-05-04 00:49 | 観劇レビュ NY '06/'07 | Comments(0)


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