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『The Pirates of Penzance』
『The Pirates of Penzance』_a0054163_1445461.jpg観劇レビュ、さらりと。今回、Marc Kudischの美声が聴ける!と楽しみにしていて、チケットも早い内から押さえてあったのですが。ちょうどこの観劇日が私の風邪の調子のピークで(悪い方のピーク)、咳も止まらず鼻もぐずぐずで...という状態でした。それも一因かと思うのですが...今ひとつ楽しみ切れませんでした。
ストーリーは、タイトル通りペンザンスの海賊たち。その海賊たちの元に21歳のフレデリックという見習いの青年がいる。彼は両親の遺言に基づいて21歳の誕生日を迎えるまで海賊見習いをしていたのだが(これは乳母のルースの聞き間違いによるもので、両親は本当はpilot=パイロットの見習いにしたかった)この誕生日を機に海賊家業には見切りをつけて、ここを出て行きたいと言い出す。海賊たちは慌てる。乳母ルースも慌てる。しかしフレデリックの決意は固く、海賊たちもルースも振り切って外の世界に飛び出す。そこで彼はスタンリー将軍の美しい娘たちを見て一目惚れし(若い女の子を見るのが初めてだったのだ)、そして・・・という、スラプスティック・コメディ。ストーリーはまぁ、あってないようなものです。いろいろ追い詰められた海賊たちも、とにかく最後は大団円で幕を閉じるので。



で。これ、すごく中途半端だなぁ...と思ったのですが、一応オペレッタなのです。オペラでもなく。ミュージカルでもなく。いや、オペレッタであることは別に構わないのです、全然。ただ、何が中途半端に感じたかって、マイクなしで客席まで歌声を響かせられる歌手がほとんどいなかったこと。それとも風邪気味の私はモウロウとしていて耳もよく聴こえていなかったのでしょうか?何にせよ、歌声が届かなかったのです。私、1階オーケストラ席センターのかなりいい席だったのですけど。それでも、届かない。これは致命傷です。オペレッタなので、たぶんピンマイクを使わずに、舞台前方の端にでも板マイクがあったような気がするのですが。でもそんなに拾ってなかったかなぁ。NY State Theaterそのものも初めてだったのですが、もしかしたらそんなに音響のいい劇場ではないのかもしれません。
そんな中にあって、私のお目当てMarcだけはしっかりバリトンの美声(はい、わたくし、バリトン好きですので)をびんびん響かせて聴かせてくれました。つやつやの素晴らしい歌声でした。あぁ、Marc、惚れそう...って言うか、もう惚れてる(笑) この人、素のお写真を見ると、目尻に皺をたくさん寄せて穏やか~に笑ういいおじちゃん、という雰囲気なのですが(もう大ヴェテランさんですしね)、いったん衣装をまとって舞台に立つとものすごい化け方をする役者さんなのです。肌艶良くなって若々しく凛々しく見えます。かなり素敵です。で、バリトンの美声。更に演技も文句なしです。私が初めてB'wayに来た時(ちょうど10年前の1997年)に『美女と野獣』でガストンを演じていらっしゃいました。今でもその時のPlaybill持っています。きっと彼と私は何かのご縁で結ばれているのです(勝手な思い込み)。
あの、間抜けなことにですね、私、開演時間を勘違いしていまして。普通、どのミュージカルもオペラも基本的に開演は夜8時なんですよ。で、この作品でもそうだとばかり思ってちゃんと確認していなかったら...劇場に着いたらなぜかもう開演していて。おやぁ?と思って、Box Officeで受け取ったチケットを見てみたら7:30p.m.開演でした_/ ̄¶● 私、ばかだ...。つまり、開演30分は観逃したのです。なので、今ひとつこの作品を楽しめなかったのは、それも原因かもしれません。でも、そうならそうでちゃんと「Early Curtain」って書いておいてほしかった...。METは、チケットを取る段階でちゃんとそれを知らせてくれるのです。NYCO、不親切だわ~。と、自分のミスを棚に上げて言ってみたり...。
ともあれ、そんなこんなでどうも消化不良なNYCOデビューでした。でもMarcの歌を聴けた、というだけで良しとすべきでしょうか。あ、あと、NY State Theaterは、1階席がブロックに分かれていなくて、右端から左端までずら~~~~っとつながっていて、途中にまったく通路がないんですよ。これで真ん中の席だとですね、自分の席に辿り着くまでにそれこそ20人くらいの他のお客さんの膝を跨いで行かなければならなくて、非常に大変な思いをします。あれ、なんとかならないものなのでしょうかねー。劇場としても、あまり好きになれませんでした。
次はやっぱりMETでしっかりオペラが観たいなぁ。英語じゃなくてイタリア語かドイッチュで。そうそう、State Theaterは字幕が舞台上部の高い位置に電光掲示板みたいなので出るのも、非常に読みにくくて首が疲れました。やっぱりもう、NYCOはいいかも...。よっぽど好きな俳優さんが出演するのでない限りは。

Thu Mar.29 2007 New York State Theater
by bongsenxanh | 2007-05-07 01:47 | 観劇レビュ NY '06/'07 | Comments(0)


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