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『Into The Wild』
『Into The Wild』_a0054163_1224919.jpg久しぶりに映画館できちんと映画を観た。調べてみたらなんと去年の12月以来だった。映画館に行く間もないなんて、私はなんて酷い生活をしているんだろう。
それはさておき。
『Into The Wild』私の住む田舎のシネコンでは、集客が悪くて1日1回くらいしか上映していなくて、しかもロードショーが始まって2週間ほどで終わってしまいそうな勢いなので、仕事帰りに無理矢理駆け込みで観に行った。
ショーン・ペン監督作品。ざっくばらんにくくってしまうとロード・ムービーだ。でも、その一言ではくくれないものが詰まっている。
私が観ていて感じたのは、役者ショーン・ペンが演じてきた姿が、あるいはショーン・ペンという人そのものが、そっくりそのまま1本の映画になったような作品だな、ということ。全編を通して、そのどこにもショーン・ペンは映っていないのに、でもどのシーンにもすべてショーン・ペンの空気が投影されている。
ストーリーは、アメリカのある青年が自分の持っている金も家族も将来もすべて捨てて、絶対的な"自由"を求めて一人アラスカの荒野を目指して放浪するというもの。実話に基いている。
重い結末を予感させながら話は進むのに、映画はとても爽やかだ。そしてともすれば利己的に思えてしまう彼の行動が、そうは見えず、観客は彼のことを断罪する気にはなれないだろう。それはこの物質と情報に溢れた文明から飛び出して一人軽やかに旅していく主人公の姿に憧れや、どこかに自分の思いを重ねて分身を見つめるような気持ちになるから...かもしれない。
主人公を演じたエミール・ハーシュはとても伸びやかにこの役を生きていた。好演。ショーン・ペン自身がもっとずっと若かったら、自分でこの役を演じたかったのではないか、とふと思った。
悲劇的な結末に向けて、それでも荒々しい自然の中にある意味"逃避"していかざるを得なかった主人公は、この現代社会を生きるにはあまりにも聡明過ぎ、そして繊細過ぎたのだろう。
後半で主人公に寄り添うように登場するおじいちゃんがものすごく良かった。ハル・ホルブルック。枯れていてなおかつ温もりのある、とってもいい存在だった。

とても良かったのだけれど、疲労困憊で激しく空腹の仕事帰りに観る映画ではなかったかも。もっと心にも時間にも余裕のある時にじっくり観たかった。
by bongsenxanh | 2008-09-24 01:18 | 映画 | Comments(0)


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