人気ブログランキング | 話題のタグを見る
『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』 演劇集団キャラメルボックス
キャラメルボックスの2008クリスマスツアー公演。
『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』

≪あらすじ≫
テレビドラマの脚本家・根室は40歳過ぎ、独身。
マネージャーをしてくれている真知子のことが前々から気になっている。
クリスマスが近づいてきたある日、ドラマのプロデューサーの接待(?)からの帰りにコーヒーを飲まないかと真知子を家へ招き入れた。
ところがそこへ、14年前に離婚して以来一度も会っていなかった娘・いぶきが訪ねて来た。
「出版社の人を紹介して!自分の小説を出したいの!」と。彼女は作家志望だと言う。
俄かに現われた19歳の娘との再会に、根室は振り回されるばかりで…。

*以下、ネタばれと言うか、内容に抵触することがいろいろ出て来ます。
 また、私の要らん感想もばんばん出て来るかと思います。
 これからご覧になられる方はご観劇のお邪魔になるかと思いますので
 お読みになりませんように!



えーと、ですね。
キャラメルボックスからこの公演のDMが届いて、チケットを予約した時点からうっすらと嫌~な予感はしていたのですが。一緒に観に行くYちゃんとも「今回もまた...だったら、どうしようね?」「私たち、キャラメル苦手になっちゃわないかしらね?」なんて話していたのですが。
...やっぱり、だめでした。途中から、ドン引きしてしまいました。
なんだろう、なんだろう、なんだろう。ああいうのってすごーく"心のキレイな人"だったら、泣けちゃったりするんだろうか。感動できたりするんだろうか。でも、泣けたり感動したりするには、あまりにも安過ぎるストーリー展開とネタではなかろうか。
「父と、離婚して以来一度も会っていない娘の再会」「娘は病気に侵されている」「娘は5歳まで一緒だった父になんとかして会いたい」「魂だけ体から抜け出して、仲の良い友達の体を借りて父に会いに行く」etc.
ここまでご都合主義で、「さぁ皆さん、泣いてください」のお膳立てが揃っていると、それはもう、嘘臭過ぎて、絵空事過ぎて、安易過ぎて、私みたいにトシ取ってヒネクレちゃった大人は鼻白んでしまうのです。でも、客席からはたくさんすすり泣きが聞こえていたので...皆さん、やはり"心のキレイな人"なんだろうなぁ。うーん......?
途中までは、と言うか、前半部分は、割と良い雰囲気で話は進んでいたのですが。私もそれなりに楽しめていたのですが。
娘のいぶきが、いぶきではなく、別の誰かの体を借りてここへ来たらしい...というのがわかってきた辺りから、それこそサ―――ッと体から血の気が引くようにして、観劇欲を失ってしまいました。
加えて。今回、客演だったいぶき役の黒川智花ちゃんがですね。私には、さっぱりいいと思えなかったのです。一人だけ、アイドル入ってる、みたいな。確かにアイドルなのだけど。かわいいのだけど。でも、それだけ。声が甲高くてキンキンしていて、まったく舞台向きの発声が出来ていないし、演技も稚拙だし。うーん、彼女を使わなければならない必然性を全然感じませんでした。脚本・演出の成井さんの好みなんだな、要は。でもあれだったら、キャラメルの若手女優さんの誰かが演じた方がよっぽど良かったのではないかしら...と、厳しいことを思いました。

ひとつ。良かった点と言うか、嬉しかった点は。
私の大好きな役者さん、大内厚雄さんが、とっても美味しいポジションのいい役だったということ(それか!)。いえ、でも、本当に。大内さんが、素敵だったのです。
細いフレームの眼鏡をして、理知的な役で。でもいいとこでクスッと笑いを取るような。
大内さんがこういう美味しい役をやるのって随分久し振りのような気がするなぁ。
今回、久し振り(でもないかな?)の主演だった根室役の西川さんも、良かったな。
私、西川さんの"狙っていないところ"での笑い(地と言うか、素と言うか)が好きなのです。
キャラメルボックスの昔からの看板役者だけあって、さすがに安定していました。その辺り、黒川智花ちゃんと好対照だったかな。意地悪な言い方だけれど。

と言うわけで、なんとも消化不良な観劇でした。
ここのとこ、本当にキャラメルの舞台では外れっ放しのような気がします。
それだけ、私がスレてしまったということなのでしょうか?
でもあの、無駄な"熱さ"みたいなものに引いてしまうのは確かで...。
観劇アンケートにも思わず書きましたが、是非とももっと"大人の鑑賞に耐え得る作品"を作ってほしいものだ、と思うのです。これは、期待と激励を込めて。
来年の夏に『風を継ぐ者』の再演をするとのことなので、そちらに賭けたいと思います。
総司、誰が演るんでしょうね。そして迅助は?楽しみです。

Saturday November22, 2008 名鉄ホール
by bongsenxanh | 2008-11-25 01:01 | 観劇レビュ 国内etc. | Comments(2)
Commented by aya at 2008-11-25 10:57 x
私もここ数年ついていけないけど、年に1~2作品「あたり」があるのでつい観ちゃうのようねぇ。そもそもこの作品は期待していないので大丈夫(笑)。

個人的には、成井さんは原作アリものが好き。とても原作の世界観を大事にしてくれて愛情がいっぱい感じられる。

彼オリジナルの作品の意地っ張りでがんばってるヒロインがどうも苦手なタイプでついていけないのです。って、ほんと個人的な好みですが、いらいらするんだから仕方がない!
Commented by bongsenxanh at 2008-11-26 00:00
♪ayaさん
そうなんですよねー>ここ数年ついていけない
なのですけど、本当にayaさんのおっしゃる通り、1作品/年の割合で「あたり」があるものだから、まだキャラメル観るのをやめる気にはならず...。
今思い出しても『TRUTH』の再演は凄かったしなぁ(そこまで遡るか!って気も)
もう少し年間の打率を上げてくれると嬉しいんですけどね。

んー、確かに成井さんの描くヒロインは女性の私たちからするとちょっと「なんだかなぁ」なところがありますよねー。
と言うか、成井さんの描くヒロインっていつも同じタイプなんですよね。
もう少しヴァリエーションがあってもいいと思うのですけど。
今回の黒川智花ちゃんが演じていたいぶきも、私には"きゃんきゃんうるさいだけの女の子"に見えて、魅力的には思えませんでした。
うーん...もうちょっと、あらゆる面で頑張ってほしいです、成井さん。
文句ばかりで申し訳ないけれど(^^;)


<< 栗きんとん キャラメルの >>


AX