久々に映画館で観る映画がこれというのも、なんだか、な気がするけれど。
もうそろそろ公開が終わってしまいそうなところ、駆け込みで観て来ました。 高校で世界史を選択していた人ならきっと誰もが知っているであろう英国のヘンリ8世とアン・ブーリン。ヘンリ8世って、ほら、あの、カトリック教会に背いて、首長令出して「自分が一番エライ」っていうイギリス国教会を作っちゃった王様ですよー。最初の王妃と離婚したいがばっかりに。 私は確か高校の時の英語の教科書でもアン・ブーリンのお話を読んでいて(ヘンリ8世の館になっていたお城では、夜な夜な斬首された首を片腕に抱えたアン・ブーリンの幽霊が出ると言うお話だった)、何と言うのか、そこそこ知っていて興味のある題材でもあったのでした。 この映画は、原題が『The Other Boleyn Girl』であるところからもおわかりのように、「もう一人のブーリン家の女の子」のお話。つまり、邦題では『ブーリン家の姉妹』になっているけれど、正確に言えば、歴史的に有名なアン・ブーリンではなく、その妹(もしくは姉)のメアリ・ブーリンにスポットを当てた物語ということになりますね。 一言で言えば。 とても面白く観ました。 約2時間の映画に収めるために、いろいろ端折っている点は多かったと思うし、描き込みの足りない部分もあったかとは思うけれど。 でも、こういう歴史物、大河物にありがちな冗長さや飽きさせてしまうたるさはなかった。 なかなか、息もつかせずに見せてくれたな、と感じました。 ひとつは、自分が"歴史的事実"として活字を通して知っていた知識を、生身の役者が血肉の通った人間ドラマとして見せてくれたということが大きかった気がします。 それも、その演じる役者がスカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンだというところが豪華。 はっきり言って、私はこの二人の演技対決と言うか、姉妹っぷりを観に行ったようなものでした。 ただ、どっちがどっちの役を演じるのかはまったく知らないまま観に行ったので(すみません、映画を観る時はたいてい事前知識を入れないまま観るのです)、最初にスカーレットがどちらかというと内省的な気の優しいメアリを演じていると知った時には「おやん?」と思ったりしました。 スカーレットはこういうおとなしくて気立ての良い女の子よりも、アンのような勝気でしたたかな女の子の方が似合うんじゃないの?と。でも、そのどちらもが演じられるのがまたスカーレットの魅力でもあるのですよね。 一方、ナタリーは、絶対にアンしか演じられないですから。ナタリーは登場した瞬間から、"アン"でした。もう、それ以外の何者でもない。彼女は、スカーレットみたいにどちらも演じられるなんてことはない。頭の回転が速くて、気が強くて、計算高い。ナタリーって、美人なのだけど、"意地悪顔"の美人なんですよね。いえ、私はそういう彼女が大好きですが。もちろん、スカーレットも大好きですが。本当によく、こんな魅力的な女優二人を共演させられたなぁと思います。 その二人に対して、ヘンリ8世役のエリック・バナは...役不足でした。どう大目に見ても。 そもそもエリック・バナは"悪どさ"が全然足りないのです。足りないと言うより「ない」。 彼は、どこをどうとってもあまりに"普通の人"、"いい人"過ぎて、あの悪名高きヘンリ8世としてはどう考えてもミスキャストだと思います。あの、あほでエロな独裁者ヘンリには(私の口が悪いのではなくて、実際そうなのですよー。あ、でも、ヘンリは一応教養はあったらしい)もっとアクの強い役者でないとだめだと思うのです。うーん、すぐにぱっとは思いつかないけれど、例えば日本の役者さんで言ったら、津●雅彦さんとか、北●一輝さんとか、ああいう濃くて悪どい感じの人でなければいけないと思うのです。 そういう点で、バナはだめでした。だめだめバナ。バナバナバーナーバ~ナ~<それはドナドナ。 いや、演技が下手だったということでは決してなく。キャラが違い過ぎたのです。 あと、端役だったけれど、メアリとアン(とジョージ)の母親役のクリスティン・スコット・トーマスがとても良かった。ぴしりと筋が通っていて。 映像としては、なかなか良かったと思います。 あの時代の衣装や、あと、宮廷の内部の撮り方の構図とか、メアリとアンの表情の映し方とか、とても美しかったし、雰囲気の出し方が上手いなぁ...と随所で思わされました。 この映画の中で、ナタリー演じるアンは、かなり嫌な女性として描かれていて、観客からも反感を抱かれるのではないか...と思ったけれど。でもふっと思ったのです。もしも自分がブーリン家の姉妹だったらどちらのタイプだろう?と。いや、答えは言わずもがなですけど。 そう言えばずっと以前に、友人から「宋家の三姉妹だったら、ふえちゃんは絶対に美齢だねー」と言われたことがありましたっけ。彼女は中国史及び中国文化を専攻している人でしたが。 うーん、なんだか身につまされるような気もいろいろしてくる映画でした。 観終わった後にケイト・ブランシェット様の演じる『エリザベス』が観たくなりました。 アンの産んだ女の子が、かの"良き女王べス"ことエリザベス1世なんですよね。
by bongsenxanh
| 2008-12-04 02:09
| 映画
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Comments(5)
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aya
at 2008-12-04 02:49
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>もしも自分がブーリン家の姉妹だったらどちらのタイプだろう?
この話題で2時間は飲める! てか、飲みました。 いやどっちでもないんだけどね(笑)。
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bongsenxanh at 2008-12-04 23:07
♪ayaさん
あはは。 私も混ざりたかったですー、その飲み>この話題で2時間は飲める! 確かに厳密に言えばどちらでもないのですけど、でも同時にどちらの要素も併せ持っていたりしますよね、女性なら誰しも(あら、そうじゃないのかしらん?) てなわけで、ayaさんとこの話題についてももっともっとお話ししたいので、ぜひこちらに飲みにいらっしゃってください、出張作って(笑) 去年のM!の焼酎飲み以来、約1年お会いしていないですよー。
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aya
at 2008-12-04 23:57
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レミには行きたいので、行くわ、きっと。
ちなみにわたしは「流されてばかりの妹」よりは 断然、姉派。 ばかだけど、フランスでいろいろ学び、 成長してきたのが偉いと思う。 でも、妹を遠ざけるのはわかるけど、 正妻と離婚させるのは我慢しよーよ! 愛人一番手で上等じゃん! と思うのですが、庶民ゆえの発想かしら。 ということを、2時間かたっていました。ホッピーで(笑)。
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aya
at 2008-12-04 23:58
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bongsenxanh at 2008-12-06 13:20
♪ayaさん
あー、またレミやるんだー、名古屋でも<全然知らなかった人 最近本当に情報に疎くていけません。 え、てことはYさま、またバルジャン? うーーーん...。 私もどちらかと言えば姉派だなぁ。 でも、あの産褥にいる妹を踏み台にしてまで...っていう根性の悪さ加減はどうかと思うし...(苦笑) もう一言、私も思いました!!>弟、かわいそすぎ。 あの弟、気が優しいだけで、なーんにも悪いことしてないのに。 計算高くて強過ぎる姉に振り回されただけなのに。 あんな切れ味の悪そうな斧で......かわいそう過ぎます; ; 「普通に穏便に生きていく」だけのことも、難しい時代だったんですねえ。
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by bongsenxanh
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