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CXL
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新年年明けに、NYへ飛ぶ予定でした。
METの1月の目玉作品である、グリゴーロ(Vittorio Grigolo)主演の『Romeo et Juliette』を観る(聴く)ために。
相手役はディアナ・ダムラウ(Diana Damrau)。
大好きなバートレット・シェール(Bartlett Sher)が新演出を施すということで話題になっていて。
予定では1月4日と6日、2回も観られるな、と楽しみにしていました。
9月頃からもうエアチケットとホテルは押さえてあったのです。
(しかも12月に入ってから、座席指定をいじろうとしたら、もういじれない設定になっていた。ということは、帰り便はビジネスアップグレードの可能性がかなり高かった…)

が。
12月になってから少し引っ掛かっている案件があって、新年職場を不在にするのはどうも不味そうな状況だな、というのと、11月の米大統領選の結果を受けて俄かに米国が色褪せてしまったのと、ここのところの為替相場の異常性も鑑みて。
今回は飛ぶのを取りやめました。
そう決めて、ささっとキャンセル処理をして、上司に年明け出勤を報告したら、何だかやけにすっきりしてしまいました。
たぶん、気持ちも体のバイオリズムも、今、NYへ飛べる状態ではなかったのだと思います。
もともと寒さに弱い体質で、冬季はちょっと無気力で鬱っぽくなるし(そんな深刻なものではないけれど)。
というわけで、この年末年始はおとなしく日本で過ごします。
休日になると山か海の外かに飛び回っていて、家の中も全然片付かないままだったので、この機会に大規模に手をつけようかと。

さようなら、NY。
さようなら、グリゴーロ。
(Liveビューイングで観るけど、生声とは全然違うのよね…)
"Falsettos""CANDIDE"も観る気満々で、NYと言ってもほぼLincoln Center作品にだけ、どっぷり浸かって過ごすつもりでいたけれど、それもさようなら。

上司には「ま、NYは逃げないからね。どうせまたすぐ行くんでしょ?」と、慰められているのか何なのかわからない言葉をかけられ。
えぇ、でもよくおわかりで。
3月には飛ぶつもりです。
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by bongsenxanh | 2016-12-31 22:08 |   -NY'17 | Comments(0)
『Madama Butterfly』 MET Live Viewing
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こちらの作品を観て来たのです。
MET Live Viewingの『Madama Butterfly』(蝶々夫人)
えーと、最初に言っておきますと、私はこの作品、あまり好きではない…と言うか、積極的に観たい作品ではありません。
それは、この作品がそもそもアジア蔑視であったり、女性差別であったり、誤ったジャポネスク幻想の様なものに基づいて作られていたり、あるいは偏った日本文化解釈がなされていたり…といった色々な問題を含んでいるからであり。
同時に、そもそも"蝶々さん"というヒロインを同じ女性として好きになれないということもあったりして。
ですが、それを脇に置いても、蝶々さん=クリスティーヌ・オポライス(Kristine Opolais)、ピンカートン=ロベルト・アラーニャ(Roberto Alagna)という組合せは魅力的で、作品に目をつぶってでも観に行ったのです。
この二人、もう皆さんご存知ですが、先の『Manon Rescaut』でも主役カップルを演じた二人ですね。
写真は、幕開け冒頭で演じられる、ダンサーによる日本舞踏(もどき)。
この長く伸びる赤い帯を使った視覚的な演出が美しく、このダンサーの姿を通して、蝶々さんの辿る悲劇が暗示される。

→Read more!
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by bongsenxanh | 2016-05-07 23:54 | 観劇レビュ NY '16/'17 | Comments(4)
『Manon Rescaut』 MET Live Viewing
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土曜日にこちらを観て来て、このこともすごく書きたいのですが。
今日はちょっと時間がないので、また明日にでも。
売り出し中のクリスティーヌ・オポライスはまぁまぁ。
美貌のソプラノではあります。
彼女よりも誰よりも、急遽デ・グリューの代演を務めたアラーニャが素晴らしかった!
そしてリチャード・エアの演出と、それを引き立てる舞台装置と、ファビオ・ルイージの指揮が素晴らしかった!
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by bongsenxanh | 2016-04-05 01:40 | 観劇レビュ NY '16/'17 | Comments(2)
『Lulu』 MET Live Viewing
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ちょっとNYの更新が進まないままですが(今週末には…!)、先週土曜日にはこちらを観て来たのです。
今年最初のMET Live Viewing。

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観て来たのは、もちろん、『Lulu』
希代のファム・ファタル、ルルをMarlis Petersenが歌います。
この役で世界へ躍り出た彼女がこの役を歌うのは今シーズンが最後。
彼女自身がそう決めたのだそうです。
18年間演じてきたこのルルという女を、もう自分が手放す時だと。
そして自分もルルから解放される時だと。

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正直言って、ベルクのスコアはこの上なく難解な上に、決して心地良い甘美な音楽でもない。
だから、決して万人受けするものではありませんし、これが初オペラ体験!という方にはお薦めしません。
けれど、難解だからこそ、何か人の心の中にひっかき傷を創って、人の気持ちを絡め取っていくような、そんな魅力がこのオペラにはあるように思えます。
そのスコアをすっかり自分のものとして歌いこなして、ルルという女を生きるMarlis Petersenはお見事!
彼女のことを色んな人が"女優"と呼んでいますが、まさにMarlisはオペラ歌手とかソプラノと呼ぶよりも"女優"と呼ぶに相応しい演じっぷりです。
街で乞食同然に花を売っていたところを、シェーン博士に拾われ、その愛人となり、けれど同時に他の男性と結婚し、更には自分ではなく他のうら若き令嬢と結婚しようとしているシェーン博士を籠絡して結婚させ、ようやく妻の座を手に入れたと思いきや他の男や女をも虜にするルル。
博士を精神的に追い詰め、悲劇的な形で撃ち殺し、自らも裁判にかけられ、牢獄に入り、脱獄し、その成れの果てとして自分の身を売るしか道がなくなったルル。
そんな破滅的なルルを、Marlisは生き生きと、自然に呼吸するかのように退廃的に演じていました。
Marlisは去年のMETの『フィガロの結婚』で、あのコケティッシュでキュートなスザンナちゃんを演じていたソプラノさんです。

後から調べたら、このルルの脚本のそもそもの原作は、『Spring Awakening』と同じF・ヴェデキントなのですね。
ヴェデキントって、本当に不幸で救いのないお話ばっかり書く作家なんだなぁ。

上映は今週金曜日まで。
機会のある方はどうぞ。
とても斬新な演出と美術(奇才W・ケントリッジ!)も見物です。
と言うか、このプロダクションは現代美術の斬新さに負うところが非常に大きい。
最初、画家のアトリエでモデルになっているルルの体に、紙に書いた乳房や女性器をぺたぺた貼り付けていくのだけれど、その斬新さや、そしてそれが表すルルの毒婦っぷりときたら…!
同時に、常に舞台上にいるルルの分身のような、内面を表すかのような、マネキンぽい人物も不気味であり滑稽であり。
あれはマイムですね。
あー、でもこんなの、1回観たらしばらくは観なくていいな。
魂吸い取られて消耗するもの。
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by bongsenxanh | 2016-01-21 00:55 | 観劇レビュ NY '16/'17 | Comments(0)
今回の観たものリスト
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機内で観た映画
『Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance』、『The Imitation Game』、『The Theory of Everything』、『Whiplash』、『紙の月』
いやぁ、3月のJ●L長距離路線はアカデミー賞をほぼ網羅できる充実ラインナップで、寝ているのがもったいない感じでした。
(と言いつつ、時差調整のためにしっかり眠る)
『バードマン』は、あれですね、エンタメ業界をよく知る人が、ある意味痛烈にエンタメ業界を皮肉った、もしくは風刺した映画。マイケル・キートン凄い。
『エニグマ』『セオリー』(邦題の「博士と彼女の~」っていうのは、何だか違う)も、どちらもとても切なくて、痛くて、でも良い作品だった。
出来ればどちらも、もう一度きちんと映画館のスクリーンで観たい。
オスカーの主演男優を獲ったのがエディ・レッドメインで、正直、どうして彼なんだろう?と思っていたけれど(良い俳優さんだとは思うけれど、まだ早過ぎるんじゃないか、若過ぎるんじゃないか、と)、映画を観たら納得した。
と言うか、役が、穿った言い方をすれば"オスカーを狙いやすい"役だったのは確か。
逆に、ベネディクト・カンバーバッチくんは、オスカーを狙うにはやや弱い役だったかも。
シャーロックの延長線上にある役とも言えるし。
『Whiplash』(邦題:セッション)も気になっていたのでつい観ちゃったけれど、これ、観なくても良かった。
音楽の歓びなんて、微塵も感じられない映画だった。
これ観ないで、それこそ『アオハライド』でも気楽に観ていれば良かったな。
『紙の月』は、映画館で観ようと思っていて、観逃していたものだったので。
宮沢りえちゃんの演技、ドラマ版の原田知世とは全く違っていて、興味深かった。
あともう少し時間があったら、『Gone Girl』も観たかったけれど、時間切れ。残念。

観た舞台
『Manon』、『The Phantom of the Opera』、『The King and I』、『Finding Neverland』、『An American in Paris』、『Into The Woods』、『On The 20th Century』
5泊で7本だったので、まぁ頑張った方でしょうか。
本当は『Hamilton』のlotteryが当たっていれば、5泊で8本になるはずでした。
5泊で8本観たら、流石に「Good job!わたし!」になっていたと思いますが(笑)
3月末のNYは、新作のオンパレードで、かつてない程の充実ラインナップでした。
確かにこれは、筋金入りのtheater goerなら春のNYを目指すはずです。
私が観た中でも、『The King and I』、『Finding Neverland』、『An American in Paris』の3作がpreview中、『On the 20th Century』はopenしたばかり、というフレッシュさでした。
なぜ今更『Phantom』か、と言うと、今、James Barbourがファントムを演じているから。
少し前まではNorm Lewisがファントムを演っていたし(観たかった!聴きたかった!)、NYのファントムは、なかなか目が離せません。
今月12日でcloseしてしまう『Into The Woods』も滑り込みで観られて良かった。
たった11人で演じられるミニマムな舞台、なかなか面白かったです。
というわけで、ひとつひとつの作品については、またそれぞれ書きます。
あ、そうそう、観たかった『Hedwig』は、すみません、きちんとスケジュールを把握していなかったがために観逃しました。
生JCM、絶対に観るつもりだったのに…『Hedwig』って日曜公演がなくて、しかも土曜は19時&22時っていう、めちゃめちゃ変則的な上演時間だったんですね_/ ̄¶●
そしてもう一つ、10月にも観られなくて、今回は観られるかも?と思っていた『Beautiful』もやはり観られず。
未だにdiscountも出ておらず、チケット入手困難なんですよね。
日によってはTKTSに出たり、火-木曜はrushもあったりするようなのですが。
他に観たい作品も沢山あったので、そんなにチケット取れないのなら、もういいや、な気分で観ませんでした。
あ、『Manon』で生で観て聴いたV.グリゴーロは、もう可愛くて、とろけそうな歌声で。
日本に連れて帰りたかった…。
なんて言っていたら、本当にこの日曜日4月5日と、来週10日は日本でリサイタルなのです。東京だけ。
どうやら日本に飛んできた便も、私と全く同じ日だったみたいでした。
これは運命ですか、神様?(<違う:神の声)
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by bongsenxanh | 2015-04-05 01:51 |   -NY'15 | Comments(0)
weaker yen
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今回のNYのお買い物で大きなものは、これくらい。
と言うか、これだけ。
UGGのBAILEY BUTTONのblack。
以前に買ったchocolateのと色違い。
前に買ったchocolate、それこそ冬場は通勤の時も履いているし、私用でお出かけする時にも履いて行くし、とにかくほぼ毎日履き通して、かなり年季が入って来ました。
もう1足あってもいいかな、と思い、今回は黒を。
黒、写真で見るとごっつくてハードな雰囲気がしますが、どうしてどうして、これに黒のタイツを履いて、ひらっとした膝上ミニスカートを合わせると、すんごく可愛いのです。

皆さんもご存知の通り、昨今の急激な円安は尋常ではなく。
去年8月初旬までは$1=¥100を切る水準だった円が、今では$1=¥120。
これって、ちょうど十年くらい前の2005年頃のレートとほぼ同じです。
2008年9月半ばのリーマンショックからつい2年程前までの$1=¥80前後のレートをしばらく経験した身には、今の円安水準はちょっと痛過ぎる。
加えて、NYの物価は、十年前よりもかなり上がっている。
とりわけ、Broadwayのチケット代の高騰は半端ではない。
十年前はオーケストラ席の正規価格が80-100ドルの幅だったのに、今では150-170ドルに跳ね上がっている。
計算していないけれど、今回、私がチケットに注ぎこんだ額は優に10万円を上回ると思う。
(その後、きちんと計算したら7作品で86,429円だった。まだ抑えられた方かな。
 一番高かったのは、MET Operaでの約18,000円。グリゴーロのためです)
それもdiscountを駆使し尽くしていて、この額。
流石にこんなこと、もう何年も続かないかな…と、自分でも薄ら寒く、淋しく感じています。

そんなわけで、お買い物をしていても妙に財布の紐を固くぎゅっと締めてしまい。
だから、本当に、えいやっと買った大物は、このUGGのBAILEY BUTTONだけなのです。
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by bongsenxanh | 2015-04-03 05:10 |   -NY'15 | Comments(2)
グリゴーロ!
グリゴーロの美声堪能中!!
素晴らしい!
しかも三幕幕切れで両肌脱いであんなことしちゃうなんて!
最高!
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by bongsenxanh | 2015-03-26 11:34 | 観劇周辺 | Comments(0)
Manon
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あまりにもグリゴーロの声に惚れてしまったので、思わずポチ!としてしまいました。
METの『Manon』
いや、チャンスがあるのなら、その時にすぐさまものにしないと。
すぐ手の中をすり抜けてしまうから。
もしかしたら一生ものかもしれないし。
プッチーニの『マノン・レスコー』の方じゃなくて、マスネの『マノン』の方です。
生でグリゴーロの声を聴けるだなんて。
お願いだから、喉の調子が悪いとか言って、代演立てたりしないでね。
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by bongsenxanh | 2015-03-21 01:34 |   -NY'15 | Comments(0)
『Les Contes d'Hoffmann』 MET Live Viewing
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滑り込みで、METのこれ、観て来ました。『ホフマン物語』
やっぱりV.グリゴーロ、良かったわ!!!
最高だったわ!!!
私好みの声と演技だ!(容姿は違う)と思った通りでした。

Bartlett Sherの演出も、あぁ、Bartだなぁ…って納得するものでした。
それにしても相変わらず日本語表記が「シャー」になっているのが気になる。「シェー(ル)」よ。

さて。追記。
この作品の予告映像を観た時に、グリゴーロの歌声を聴いた瞬間、「あ!ルチアーノと似てる!!!」と思った。
声が、声質が、ということでなく(もちろんそれもあるけれど)、テイストが、歌から伝わってくるものが、ルチアーノの歌を聴いていた時を彷彿とさせたのだ。
その後、グリゴーロが"パヴァロッティの再来"とか"新しきテノールの大スター"とか言われていることを遅まきながら知った。
やはり。
とても伸びやかに、小細工なしに高らかに歌い上げる感じとか、かなり声を張り上げ気味に高音を出す発声とか(あれ、かなり喉に負担がかかっていると思うなぁ)、
これぞイタリアン・テノール!!!
とでも言いたくなるような歌唱。
聴けばすぐに彼だとわかる特徴(癖)のある歌唱なので、きっと好き嫌いが大きく分かれる歌声だと思う。
私は、大好きだった。
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『The Merry Widow』の時の予告インタビューで、グリゴーロ自身が、
「(リハーサルで)ホフマンを演じて歌っている時に、no,no,それはイタリアン・モード過ぎるよ、もっと抑えて!って注意されることがある。自分では抑えているつもりなんだけど、つい、イタリアンで情熱的になっちゃうんだよね」
みたいなことを言っていたけれど、本当にその言葉通りで、フランス語でホフマンを歌っていても(ホフマンはドイツ・ロマン派の詩人・作家ホフマンがモデルなので、ドイツ人か)、グリゴーロの演じるそれは明らかにイタリア~ノ!だった。
機械人形に恋し、夢破れる、滑稽で愚かででもチャーミングなホフマンも、歌姫アントニアを純粋に愛するホフマンも、高級娼婦のジュリエッタに呆気なく弄ばれちゃう他愛もないホフマンも、すべて愛すべきイタリア~ノのグリゴーロだった。
ただ、抑制するところはきちんと抑制している。
Bartはこの『ホフマン物語』にカフカに感じられる哲学も盛り込んだ、と語っていたけれど、そういった苦悩や苦悶も色濃く表現されていたと思う。
あと、グリゴーロの歌は、きちんと歌詞が聴こえるなぁ…とも。
大学の第二外国語でしかフランス語をやっていないへなちょこの私にも、グリゴーロのフランス語は音がしっかり聴き取れた。
『クラインザックの物語』のところ、グリゴーロのチャーミングさがしっかり出ていたなぁ。
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幕間にデボラ・ヴォイトのインタビューに応えるグリゴーロも、ラテン系のやんちゃ坊主という雰囲気たっぷりで、ぺらぺらぺらぺらグリゴーロ節で喋りまくり(笑)
デボラもやや辟易しているかのような受け答えで、最後には「残念!もう時間切れよ!」みたいな感じでインタビューを打ち切り、グリゴーロと唇の端だけでキスをして、追い払っていた(笑)
追い払った後にフゥーーー!That's enough!!!みたいな感じで肩をすくめるようなジェスチャーもしていたし。
面白いなぁ、グリゴーロ。憎めないなぁ。
4月の5日と10日に来日リサイタルをするのだけど、東京だけなのが残念。

グリゴーロ以外には、ミューズ/ニクラウスを演じたケイト・リンジーが素晴らしかった。
もともとの見た目が非常に中性的で、クールで理知的なのだけど、それに加えてとっても芸達者で、1幕でオランピアに惚れたホフマンを揶揄して歌うシーンでは、人形を使って振りを入れて歌うのも巧かった!
終幕で、ミューズの姿に戻ってホフマンを優しく抱きとめるのも、包容力のある歌声と演技が良かった。

4役の悪役をこなすバリトンのトマス・ハンプソンも堂に入った悪役振り。
バリトンの響きも貫録たっぷり。
ジュリエッタをダイヤモンドで釣るシーンの歌唱は惚れ惚れする響きだった。

他に、オランピアを歌った新人エリン・モーリーも凄かった!
あのコロラトゥーラの最大の見せ場(聴かせ場)、『生垣には、小鳥たち』のハイトーン、スコア以上の高音をばんばん出していた。
機械人形のぜんまい仕掛けの独特の動きと発声がきちんと連動しているところは天晴れ!
幕間インタビューでは、自分でも高音のことを「音とは言えないような金切り声」と言っていたけれど、いや、でもあれだけ正確に、あの人の業とは思えない音を出せるのは凄い。
私、オランピアのこのクプレは、森摩季さんの歌うものがとても好きだったのだけれど、いやはや、人の個性によって、それぞれ違った色彩を聴かせてくれるものです。

アントニアのヒブラ・ゲルツマーヴァもそれは素晴らしいソプラノだったけれど…(彼女、チャイコ国際コンクールで"グランプリ"を獲った天才だそう。グランプリって、各部門通しての優勝者の中からのたった一人。あと私の知る中ではピアニストのダニール・トリフォノフくらい?)いや、声だけなら本当に、まさに、プリマ・ドンナに相応しいアントニアだったけれど。
あのずどーーーん!とした体形は何とかならないものだろうか…。
あの体だからこそ、あの声が出るのだと言われればそれまでかもしれないけれど。
アントニア、薄幸の、瀕死の、歌姫なのだけれど…あの体型ではとても瀕死に見えない。
健康そのもので溌剌としていそう。
以前は、オペラ歌手、それもソプラノとなれば、太っていても当たり前、みたいなところがあったけれど、最近では容姿もスリムで美しい歌手が増えてきているので…もう少し努力してくれると嬉しいなぁ。

ともあれ、Bartの創り出す妖しくも幻想的な世界と、グリゴーロ演じるホフマンをたっぷり堪能できたプロダクションだった。
これ、DVD化してくれないかしら。
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by bongsenxanh | 2015-03-16 00:56 | 観劇レビュ NY '14/'15 | Comments(0)
『The Merry Widow』 MET Live Viewing
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こちらを、観てまいりました。
Susan Stromanによる新演出ということ、更には我らがKelli O’Haraの華麗なる(念願の?)MET debut!!ということで、期待に期待をミルフィーユのように重ねて観に行きました。

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Susan演出・振付の魅力が如何なく発揮された、とてもゴージャスな舞台でした。
先に観られた方が、「Broadwayとオペラの融合!」というようなことを口々に仰っていたけれど、確かに。
普段、グランド・オペラを上演しているあの大劇場に、Susanのとっても洒落た現代的センスを持ち込むとこんなにも華やかに花開くんだ...という。
男爵邸でのパーティの群舞もしかり、シェ・マキシムでのカンカンはもう、お見事!Susan!!としか言い様がないほどの素晴らしくて粋な振付。
Susanの振付が素晴らしいのは、単に「ダンスを見せている」だけではなくて、そのダンスのひとつひとつの振りに、きちんと意味があること。
その時の登場人物たちの個性や、考えていること、気持ちの揺れがしっかりダンスに表れるように降り付けられている。
感情や動機の裏付けがあるダンスって、持っている力が全然違うのだ。

で、MET debutを飾ったKelliちゃんも頑張ってた...けど、あのカツラとお衣裳でMETの舞台に立つと、前より老けたな...と感じてしまったり。
歌ももちろん、Kelliちゃんのよく通る澄み切った声で良かったけれど...やはり本家のオペラ歌手、Renéeとデュエットしちゃったりなんかすると、一目(耳)瞭然で、違うのですよねー。
デュエットでなく、ソロでも、ま、Renéeとの差は歴然で。
ま、それはそれで。
Metropolitanの華と呼ばれるRenée Flemingも、このMETのポスターでは大分若作りしているな...と思っていましたが、やっぱりもう初老の域に入っていましたね。
いや、それでも流石のRenée Fleming、そのソプラノは健在で、そしてなんだか貫録もたっぷりで、聴かせてくれました。
ソロで聴かせるところは、やはりオペラ歌手の腕の見せどころ、喉の聴かせどころですものね。

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そうそう、Kelliちゃん演じるヴァランシエンヌに言い寄るカミーユ・ド・ロシヨン、Alek Shraderですが、ちょっととっつぁんぼうやの様な雰囲気の、でもまだ若いテノールさん、声もなかなかですが、演技もなかなか良かったです。
全然好みではないのですが(ルックスとして、ね)、この背後からヴァランシエンヌを抱き締めて口説き落とすところでは、ちょっと私も誑し込まれそうになりました。
背後から来られるのに弱いのか、私。
ヴァランシエンヌを口説き落とすのには成功して、あずまやへと導くわけですが、その後...というのがこのオペレッタの面白さ。
Alek以外にも、ヴァランシエンヌの夫・ツェータ男爵を演じたバリトンのThomas Allenも上手いの何の!
オペレッタなので、オペラにはない長い台詞も多くて、コメディなのでそれで笑いを取るシーンも多いのだけれど、それを難なくこなして、非常にチャーミングなおじさまでした。
あと、何と言ってもダニロを演じたバリトンのNathan Gunnがものすごく素敵だった...!!!
その美声ももちろんのこと、台詞を語る時のお声も美声で、更に演技もダンスもこなしちゃって、その上全身からフェロモンがむんむん漂っていて、恰幅のいいお体ながら、ものすごい美丈夫っぷりでした。
そりゃ、あれじゃ、ハンナも元恋人のダニロのこと、忘れられないわけです。
あ、唯一と言っていいほど歌わない役ニェグシュを演じていたCarson Elrodは流石のコメディアンっぷり。
喜劇役者ここにあり、という感じで三の線のおとぼけ従者の役どころを演じていました。

この作品、言わずと知れたことですが、オペレッタなのですよね。
今日の私は、どちらかと言うとがっつりオペラのアリアを聴きたい気分で、Live Viewingへ足を運んでしまったので、この上もなくwell-madeな舞台だったのにも関わらず、
「あぁ...こんな台詞いっぱいなやつじゃなくて、もっとこってりしたアリアを聴かせてほしいなぁ…イタリア・オペラの馬鹿丸出しの"わたしはあなたを愛しているぅぅぅ~~~!"みたいなやつでいいんだよなぁ…」
なんて不謹慎なことを考えてしまいました。
ごめんなさい。
決してこのプロダクションに不満があったわけではないんです。
あ、あと、英語だったのも最初「あれ?あれれれ??」と思ったことのひとつでした。
そうか、ドイツ語ヴァージョンじゃないのか、そうよね、METだものね、前にMETで英語ヴァージョンの『魔笛』だって観たことあるものね。
と思ったけれど。
やっぱり気分としてはイタリア語かドイツ語の響きを聴きたいような気分だったのです。
オペレッタを観に行く時は、オペレッタの気分を盛り上げて行かないといけませんね。
さ、次は『Les Contes d'Hoffmann』だ。
予告映像で観たら、Vittorio Grigoloがめちゃめちゃ良さそうだったので(とってもsexyな歌声)、楽しみ。
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by bongsenxanh | 2015-02-24 23:51 | 観劇レビュ NY '14/'15 | Comments(0)




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