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『オー!ファーザー』 伊坂 幸太郎 著、新潮社
オー!ファーザー

ゴールデンスランバー以来に、心から「あぁ、伊坂くんの書く作品、やっぱり好きだなぁ」と思った。
それもそのはず、彼自身があとがきで「自分の得意なところばかりで書いた」と書いている通り、彼の持ち味や良さが存分に発揮された作品だと思う。
あとがきではまた、「第一期の終わりに当たる作品」「ここからゴールデンスランバーにつながっていく」というようなことを書いていて、あぁ、なるほどなぁ...とも思った。
彼自身がそう言うのなら間違いないのであろうことに、私が好きなのは第一期の伊坂幸太郎作品なのだろうなぁ、とも感じた。

この本の面白さは、父親4人という奇抜な設定と、その4人の父親と主人公・由紀夫の会話の妙にあると思う。
会話の妙を楽しむという点と、それぞれ個性の強い登場人物という点で、『陽気なギャングが地球を回す』に似た雰囲気も感じた。
ただ、『陽気なギャング~』ほどのストーリーの疾走感がないのは、これが新聞掲載小説だったということにも関係しているのかもしれない。
制限された文章量だけで毎日毎日連載するということは、どうしても全体的としてのダイナミックな流れは犠牲になってしまうということか、と。
途中、少しダレているようなところもないわけでもなかった。

高校生ながら、どこか悟りきったような、飄々とした主人公・由紀夫のキャラクターも良かった。
いかにも伊坂作品の主役然としていて、その由紀夫と濃ゆ~い父親たちの好対照がまたなんとも良かった。
もう少しその父親たちを虜にする(?)母親についての言及があってもいいような気もした。
by bongsenxanh | 2011-03-31 21:10 | | Comments(2)
Commented at 2011-04-01 21:12 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bongsenxanh at 2011-04-02 11:34
♪鍵コメさま

ふふ、読んだわよ!
私はねー、あれ、アリでした。
あれはね、リアルにシヴィアに考えちゃだめなの(笑)
論理的整合性とかトリックとしての鮮やかさとかも考えちゃだめなの。
ああいうところには「ありえねー!」って思わせつつも、笑いながら、うんうんうん!ってうなずかされてしまう夢と笑いがなくっちゃ!
何よりこれは伊坂エンターテインメントだから。
私はあれで良かったと思うの。

それにね、今こういう時だからこそ、「くすっ」とか、「ふふっ」て笑えるものが必要だなーと思って。
私が今読みたかったのはまさにこういうものなんだなぁって素直に思えました。
別件も、良かったね、本当に。
ほっとしました。


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