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上村松園展―名古屋市美術館開館25周年記念
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名古屋市美術館へ、上村松園展を観に行って来ました。
会期が始まる前の、2月頃から「これは観るのだ、必ず観るのだ」と思っていたのに、結局足を運んだのは、会期終了直前。
なんとか滑り込みで間に合いました。
これだけの規模で、上村松園の作品が一堂に会した姿を観られるのは稀。
それも東京ではなく、名古屋で。
名古屋市美術館の開館25周年の記念展覧会です。


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名古屋市美術館のある白川公園は、緑が濃く、とても心地が良い。
新しくなったこのプラネタリウムは、ドーム内径35mで世界一の大きさだそうです。
こちらも、いずれ。


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もう1枚。
こちらは『青眉』
松園が母を偲んで描いた一作。


どれもこれも、素晴らし過ぎて、館内をゆっくりゆっくり観て回っている内に頭がくらくらしてきたけれど。
そんな中にあっても、ずば抜けて素晴らしく、他を寄せつけない程の存在感があったのは。
『母子』
画像がないので、国立近代美術館のURLを貼っておきます。
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=2100&edaban=1

この作品を直に観るのは初めてだったのだけれど、こんなに大きな作品だとは思っていなかった。
優に等身大以上の大きさがある。
もちろん、存在感があったのはその大きさゆえではなく、この作品の持つ優美さと力強さ、そして時代を経ても変わらない普遍的な母の慈愛ゆえ。
涙ぐみたくなるような、柔らかで気品ある、強い力を持つ作品だった。

他に、最初の画像のポスターにもなっている『花嫁』も素晴らしかった。
こんな素敵な作品を所蔵している奈良ホテルって、いいなぁ。
所蔵と言えば、松園の作品は個人蔵のものがとても多いのですね。
それは松園の作品数が多いこともあり、そして彼女が明治・大正・昭和という時代を通じて、生活を賭して、女性ながら一家の稼ぎ頭として描いていたこととも無縁でないと思う。
彼女の人生はまた、多くの苦難に遭いながらも、強く凛としたものだったのだろう。


松園は、その作品からも凛とした気品溢れる気配が伝わってくるが、それをそのまま言い表したかのような彼女の言葉が、展示の最後に掲げられていたので、それをご紹介。
ちなみにこの言葉、とても良かったのに、この展覧会の図録にも載せられておらず、チラシ等でも紹介されておらず、この言葉が書かれている随筆はもう絶版になっていて手に入らないのだそうだ。
私はメモにペンを走らせて書き留めて来たけれど、私以外にも一生懸命筆を走らせている来館者がたくさんいらっしゃった。


人間の一代は、実に舟に乗って旅をするようで、
航程には雨もあれば風もあります。
その難関を突き抜けて行くうちに
次第に強く生きる力を与えられます。
他人を頼りにしては駄目です。
自分の救い手は矢張自分です。
立派な人間でないと芸術は生まれません。
人格がその人の芸術を定めているのです。
筆の上に自分の心を描いているので、
人前のよい、派手なことばかり目掛けても、
心に真実がなければ駄目です。
又人間は絶えず反省する事が大事で、
そこに進歩があります。
                     ―上村松園
by bongsenxanh | 2013-06-03 00:10 | 美術 | Comments(0)


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