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『死神の浮力』 伊坂 幸太郎 著、文藝春秋
死神の浮力
死神の浮力

これ、読んだ。
前作の『死神の精度』から、実に8年の歳月が流れての、死神・千葉のお話。
結構、期待して読んだ。

う―――む...いいのだけれど...悪くはないのだけれど。
今回もてっきり短編集だと思っていたら、長編だった。
で、前作ではショートだからこそ生きていた設定が、何て言うのか、長編になったら少し冗長と言うか...。
どうも入り込めなかった。
あと、登場人物の、サイコパスの完全なる"悪人"という設定が、どうも...。
これ、同じく伊坂くんの『マリアビートル』の時にも感じた嫌な感じと同じ種類のものだと思う。
やや勧善懲悪じみていて、最後には少し溜飲が下がるのだけれど、それでも読後感は良くなかった。
by bongsenxanh | 2014-01-12 22:30 | | Comments(2)
Commented by ともきち at 2014-01-15 09:17 x
これねー各地で褒められていて死神さんシリーズは私も好きなんだけども、も。
そしてこの作品でも警句とか会話とかとても魅力的なんだけども、も。ふえさんのおっしゃるように、短編じゃないというのがキレが薄くなってる一つの要因だと思う。犯人像ねえ・・もうちょっと掘り下げが・・。
あと、どうやったって、この夫妻の子供っていうのは死んでるわけじゃない?もうそこに最初から厳然とした事実があるわけじゃない?ここでいかに軽妙洒脱なやり取りが千葉となされていても、(子供が死んでるんだよなあ・・・)と思ってしまったわ、私は。死んでいてこんなくすっと笑えるやり取り出来ないよ、と思ってしまったんだわ。
そこが救いになるのかなあとは思いつつ。
Commented by bongsenxanh at 2014-01-16 00:04
♪ともきちさん

そうなんですー。
どんなに伊坂くんお得意の会話の妙を積み重ねようとも、千葉の台詞のピンぼけ具合が際立っていようとも、小学生の子どもが殺されているというところが...それも、何一つ説得力のある動機のない状態で、というのが、もう駄目なんですよね。
良心のない人間だから、サイコパスだから、というだけでは動機としても犯人像としてもあまりに弱くて。
だから色んなところで「楽しめました」「面白かった」みたいな感想を目にすると、うーーーん?と首をかしげてしまいました。
そういう言葉で語っていいものなんだろうか、と。
フィクションだ、と言えばそれまでなのかもしれませんが。

伊坂くん、こんな嫌な感じを残さずに、もっと凄いものが書ける人だと思うのですけどー。
これからに期待しています!


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