『The Danish Girl』
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昨日、こちらを観て来たのです。
邦題『リリーのすべて』
原題を直訳すると「デンマーク人の女性(少女、と言うとちょっと可愛過ぎる)」。
ものすごい痛みを伴うような、切な過ぎる映画でした。
これ、妻のゲルダ、あまりに辛過ぎるよ…。

19世紀末~20世紀初頭に実在した画家アイナー(アイナーは英語読み。Einar Mogens Wegener)とその妻ゲルダ(Gerda Marie Fredrikke Gottlieb)のストーリー。
ゲルダもまた、画家でありイラストレーター。
ある時、ゲルダが都合の悪くなった女性モデルの代役として、アイナーに絵のモデル―女性のドレスをまとってシルクのストッキングを履く―を頼んだことから、この夫婦の運命は変わり始める。
アイナーは自分の内なる"もう一人の自分"の存在を認め、それに目覚めていき…。

アイナーを演じたエディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)は見事、としか言いようがない。
もともと物腰の柔らかい人ではあったけれど、あれ?彼ってこんなにも女性らしかった?と思うほど、作品終盤でのアイナーへの身の投じ方は真に迫っていた。
一方、それに対する妻ゲルダのアリシア・ヴィキャンデル(Alicia Vikander)がまた凄い。
どんどん変わっていく夫の容姿と内面に振り回され、戸惑いながらも、必死でその彼を受け入れ、なんとか支えようとする。
配給会社はこれを「愛の物語」とか言って、売ろうとしているけれど、私はそんな単純で安っぽい宣伝文句で片付けられるものではないと思った。
どちらかと言えば、これはお互いが芸術家であるという二人だからこそ、成立し得た関係だったのではないかと思う。
ただの市井の一般人だったら、おそらくお互いを支え合い、二人でやっていこうとは出来なかったのではないか。
実話に基づいたフィクションの映画だから、当然お奇麗な部分しか描かれていないのだけれど、実際にはゲルダは"女性化"するアイナー=リリーをモチーフとして描き、その商品化されたリリーが好評を博して、絵が高値で売れることで、画家としての地位と名声と金を手に入れていた側面が多分にある。
アイナー=リリーもまた、そうした自分の姿を描いて画家としての地位を確立したゲルダに依存して生きていた。
だから、お互いに利害関係が一致していた芸術家同士、というところはある。
同時に、芸術家であればこそ、深い部分でのお互いの人間性を理解し合っていたということもあるだろう。

他に、画商ハンス役を演じたマティアス・スーナールツ(Matthias Schoenaerts)がとても良かった。
顔は全然好みではない俳優さんなのに(失礼!)、佇まいとか存在感がものすごく良かった。
ベルギー人の俳優さんなのだそうです。
あ、アントワープの出身なんだー。行ったことのある地なだけに、勝手に親近感。
と言うか、ゲルダ、どんどん女性化して"女性であること"に利己的になっていくアイナーに疲弊して行くあの状況の中でだったら、何も言わずに抱き留めてくれるハンスにもっと寄りかかって行ってもいいと思うな。
私だったら、確実に全体重かけて寄りかかってしまうな。

と、そんなわけで。
先日観た『CAROL』に続いて、またもLGBTものでした。
今年のアカデミー賞の傾向がこういう感じなのでしょうか。
それとも、これが時代の流れでしょうか。
ただ、私の住む地方では、やはりマイナーなのか、『CAROL』もこの作品も、地元のシネコンでは上映がなく、名古屋まで行かないと観られず。
そういうところも、地方ではまだまだ性的マイナリティが受け入れられていないことの表れか、という気がしました。
米国で、田舎では差別や偏見が酷くて、LGBTの人たちはNYやLAみたいな大都市を目指すのと、どこか同じなのかもしれません。

あ、こちらの作品も字幕、松浦美奈さんでした。
今や、第一人者ですね。
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by bongsenxanh | 2016-04-20 01:10 | 映画 | Comments(0)


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