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『CARMEN』―MET Live Viewing
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走り書きばっかりで申し訳ないですが。
METの『カルメン』、初日の金曜日の夜に早速観て来たので、取り急ぎ。
1日2回上映、本当にありがたいです。
そうでなければ、平日に観に行くのなんて勤め人にはとても無理ですから。

世界で絶賛されているクレモンティーヌ・マルゲーヌのカルメン。
そこにドン・ホセと言えばロベルト・アラーニャ!というほど天下一品のドン・ホセ。
更にエスカミーリョには容姿・歌声ともに抜群のアレクサンダー・ヴィノグラドフ。
役者は揃った。

というのがMETの触れ込みだったのですが。
う―――ん、ごめんなさい、先に言ってしまいますが、クレモンティーヌのカルメン、私には今一つ良さがわかりませんでした。
いや、確かに歌は歌えているし、情熱的?と言われればまぁ情熱的だし(その程度か)、薄汚いジプシー女という感じの(差別ではありません、雰囲気を形容しているだけです)雰囲気を醸し出していて、まぁこういうカルメンもいるだろう…とは思ったのですが。
官能とか、迸る野性味とか、希代の悪女!というオーラみたいなものが、私には感じられなかったのです。
中途半端と言うか。
それに歌声が、何だか温かみのあるメゾ・ソプラノなんですよね。
カルメンらしいワイルドさとかシャープさはないと言うか。
私の好みとは違っていただけなのかもしれませんが。
う―――ん、う―――ん…。
結構鳩胸のどすこい!体型のカルメンで、お肌の色艶や皺の寄り方から、もう40代後半~50代くらいかしら?と思っていたら、バイオグラフィを見たら想像以上に若くて35歳でしたのよ、クレモンティーヌ。
失礼しました、ごめんなさい。
演じている時の表情が一瞬、渡辺えり子さんの様に見える時もあったりして。
ラテン系のエキゾチックな顔立ちなのですけど…。
うらぶれた場末のスナックにいる往年のママみたいなカルメンだったと言うか…。

カルメンはそんな感じなのですが、このプロダクションの観どころ聴きどころはやっぱりアラーニャでした!!!
いや、アラーニャ、素晴らしかったですよ!!!
びんびん響き渡る艶やかなテノール!!!
そうか、アラーニャ、アンコール上映の『ロメオとジュリエット』なんて観ている場合じゃなかったのね。
あなたの真価はやはりこういう、悪女に振り回される道を踏み外した生真面目男を演じた時に発揮されるのね。
そう言えば、クリスティーヌ・オポライス演じるマノンに振り回される『マノン・レスコー』を演じた時も良かったものね(そう言えばあの時もリチャード・エア演出だったっけ)。
実生活でも散々ゲオルギューに振り回されて、挙句、別れたくらいだものね(余計ですね)
幕間のインタビューの時にも、ミカエラを演じた実生活の現在の妻、アレクサンドラ・クルジャックと仲良さそうに応えていて、その受け答えがまた女性をうまく立てて、インタビュアーのアイリーン・ペレスにも優しく気遣いをしていて、あぁ、これはロベルト、女性にモテるはずだわ…と言うか、下手すると上手いこと女性に利用されちゃうはずだわ…と思わされたのでした。
話が逸れました(^^;)
あ、アイリーン・ペレスがとってもチャーミングで、インタビューが良かったです。
後述するイケメン・ダンディなエスカミーリョのヴィノグラドフとも、とっても親しげに話していて。

そしてそして!
エスカミーリョのアレクサンダー・ヴィノグラドフ!
アラーニャとまた良い感じにライバルを張れる、うっとりするような美声のバス。
しかもルックスがまたとてもハンサムさんで惚れ惚れしちゃうようなエスカミーリョなのです。
そりゃ、カルメンだってこんな闘牛士に言い寄られたら、ふらふらっとそちらに流れちゃうでしょう。
ただでさえ恋多き魔性の女なのだもの。

そういうわけですので、今回の『カルメン』はアラーニャとヴィノグラドフを観に行く&聴きに行くプロダクションです。
ぜひぜひこの二人の美声を聴いて来て下さい。
あ、あと、もちろんリチャード・エアの演出も見ものです。
あの回転する盆が二重になったセット、凄いなぁ。
ライブビューイングだと、1幕から2幕への舞台転換も見られるのが興味深いです。
1幕幕切れのカルメンの脱走で、あの回る盆舞台が非常に効果的に使われていました。
まさに逃走するカルメンの躍動感が表れていて。
リチャード・エア演出は人物の描き方も、その人物たちが織り成す重層構造も、何て言うのか、レイヤーが幾重にも折り重なって構成されているような重厚感がありますね。

あ、追記。
今回の『カルメン』、児童合唱団のコーラスがまたとっても素晴らしいのです!
1幕始まってすぐに「あぁ、コーラス良いなぁ…」と思って聴いていたら、ちゃ~んと幕間のインタビューで児童合唱団の指導をしているトレーナーと、コーラスの子ども3人のインタビューがあったので、流石!目の付け所をちゃんと心得ている!と思いました^^
コーラスの子どもは男の子2人と女の子1人で、ショーンとサラだったのは覚えているけれど、あともう一人の男の子の名前を忘れてしまった…(その内思い出します、多分)
「将来はソロの歌手として主役をやってみたい?」との質問に"I don't know."ってさらっと答えていたのが、いかにも米国の(NYの)子どもらしくて微笑ましかった。
METは児童合唱団も、もちろん大人の合唱団も、レベルが高くて何とも耳が幸せです。

幕開けのあのあまりにも有名な序曲を耳にした瞬間、そしてその後の超有名曲のオンパレードを聴いていて、「あぁ、『カルメン』ってなんてポップでキャッチ―なオペラなんだろう」と思いました。
『椿姫』と並んでオペラの入門には最適で、と同時に年季のいったクラオタにもちゃんと聴き応えがある楽曲ですよね。
更に序曲って書いて思い出したけれど、ルイ・ラングレーの指揮も良かった。
彼が序曲を振っている映像、とっても華やかで楽しそうでした。

by bongsenxanh | 2019-03-09 02:09 | 観劇レビュ NY '18/'19 | Comments(4)
Commented by Kcouscous at 2019-03-12 14:26
ふっふっ。忘れないように初日見ました。
そしてアラーニャとヴィノグラドフを堪能しました。
そしてそして諸々の面でふえさんと同じ感想を持ちました。
ふえさんが詳しいレビューを書いてくださっているおかげで、ああ、そういうところを見るべきなのか、とか、むふ、私の感じ方もまんざら的外れじゃなかったんだなとか、いろいろなことがわかって感謝、感謝です。
去年だったかの『ルイザ・ミラー』に私はとても感動したんですけど、ヴィノグラドフはあれでベチャワの父親役をやってましたね。年のわからないひとです(笑)。笑うと目がニコニコマークの目のようでかわいい^^
いやぁ、面白かった! またいろいろ教えてくださいね。
Commented by bongsenxanh at 2019-03-13 01:35
♪Kcousさん

わー!またもや初日仲間ですね‼
も~、ヴィノグラドフ、すんごく良かったですよね~~♥
あんなにイケメンで素敵なエスカミーリョ、初めて観たような気がしました。
ニヤッと笑った顔も、少しニヒルな様な、可愛い様な、何とも言えない魅力に溢れていましたよね~。
ちなみに若いのかトシなのか今一わからない彼は御年42歳です。
オペラ歌手としてはまだ若い方ですね。
私は『ルイザ・ミラー』のお父さんを見逃しているので、あぁ、しまった…!と思いました。
そして今季、アラーニャがガランチャと共演した『サムソンとデリラ』も都合がつかなくて観に行けなかったので、これもしまった…!と。
なかなかたった1週間だけの上映に予定を合わせるのは難しいですね~。
あ、そしてそして、こんな走り書きの感想をそんな風に言って下さってありがとうございますm(_ _)m
本当はもっと微に入り細に入り、ねちねちとたっぷり書きたいのですが(笑)
次はカルメル修道女かなぁ?と思っておりますが、連隊の娘もちょっとだけ気になったりして。
あの演出の『連隊の娘』は、METで生で若かりし日のフローレス&ダムラウ共演で観ているので、まぁ今回は見送りでいいか~っていう気持ちが強いのです…。
Commented by quast at 2019-03-16 06:23
こんにちは、ミクシィからなぜかメッセージが送れないので、こちらからすみません。先日お送りしたもの届きましたか?
Commented by bongsenxanh at 2019-03-17 02:45
♪quastさん

すみません、昨日まで少し九州に行っていたので、帰って来て郵便受けに入っていたのを受け取りました。
どうもありがとうございます!
とってもきれいな状態で届いたので、Aaronにも「見たよ~」って知らせようかとおもっています^^
ツアー観に行けたらいいんですけど…本当に感謝です‼


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