人気ブログランキング | 話題のタグを見る
A列車で行こう?!
 2004年のNY、極力節約旅行をしたかった(要は予算ぎりぎりのビンボ旅行だった)私は、NYはJFK(ジョン・F・ケネディ)空港から一番安くマンハッタンまで出られる方法を選びました。
 それはもちろん地下鉄!



 シャトルバスよりもエアポートバスよりも安い地下鉄はどこからどこまで乗っても一律2ドル!交通渋滞にひっかからなくて済むので場合によってはバスやタクシーよりも早くマンハッタンに入れます。前回来た時にはまだなかったのですが、今現在は空港から地下鉄に接続するための「エアトレイン」というモノレールが各ターミナルを循環して走っています(JFK空港にはターミナルが9つもあるんです)。このエアトレインに乗るとジャマイカステーションかハワードビーチステーションのどちらかに行けます。どちらかの駅から地下鉄に接続。ジャマイカステーションからはE・J・Zラインが、ハワードビーチステーションからはAラインが出ています。ジャマイカからだとクイーンズまわり(地図で見るとちょっと上(北)の右横側=アップタウンから)、ハワードビーチからだとブルックリンまわり(地図で見ると下(南)側=ダウンタウンから)でマンハッタン入りすることになります。
(参考までに地下鉄路線図 http://www.mta.nyc.ny.us/nyct/maps/submap.htm )エアトレインの料金は5ドルなのでトータル7ドル。コストパフォーマンスはいいし、時間も早く行けるので(ついでに言うと私は車酔いするので出来る限りバスは避けたい)荷物が多くなくて乗り継ぎが苦にならない人にはおすすめです。
 さて、私の目指す滞在先のアパートの最寄り駅はアッパーウエストの72丁目。地下鉄ではA・C・B・Dラインが走っている駅です。ただ注意しなければならないのはAトレインとDトレインは急行なので72丁目には止まらないということ。普通のCトレインかBトレインをつかまえなければいけません。約13時間のフライトを終えてJFKに降り立った私は、機内でもあまり眠れなかった&時差の関係もあって、既に疲れていて、ともかくエアトレインに乗らなきゃ~、とちょうど滑り込んできたエアトレインの行き先を確かめもせず、ふらりん、と乗り込みました。乗ってから気が付いたのだけれど、そのエアトレインの行き先はハワードビーチ。私が目指すアパートにはジャマイカからEトレインに乗って42丁目辺りでCトレインに乗り換えて行った方が近かったのですが時既に遅し。ハワードビーチ行きに乗っちまったもんは仕方がない。ハワードビーチからのAトレインでも行けるので(若干時間はかかるけれど)そちらのルートを取ることにしました。AトレインとCトレインはまったく同じラインを走っている急行(エクスプレス)と普通(ローカル)なので、どこかで適当に乗り換えすればいいわけです。
 さて、Aトレイン。往年のジャズの名曲"A列車で行こう(Take The A Train)"で

♪You~must take the"A"train~~(A列車に乗らなくちゃ~)

と歌われているA列車こそ、まさにこのAトレイン。NYに着いてすぐからA列車に乗れるなんてなんだかしあわせ~~~と、意識が飛びかけている頭でぼんやり考えながらAトレインの車窓から外を眺めていました。この、空港から街へ入る時に車窓から見る景色、どこの国でも好きなものなんです。ジャマイカからのEトレインは最初から地下を走るので車窓からの景色なんてないのですが、Aトレインはかなり長い間地上を走ります。空港近辺の分譲住宅街の街並みは見ていてもちっとも面白くありませんが、ブルックリンを通りかかる辺りになってくるとなんとなくわくわくしてきます。そしてこのAトレイン、ブルックリンからマンハッタンへ渡る際に橋を渡るんです。NYのガイドブックやポストカードでよく見かける、ブルックリンとマンハッタンをつなぐ橋です。橋を吊る鉄骨やワイヤーが見えるので満点!とまではいきませんが、それでもマンハッタンに突入していく臨場感は十分に味わえます。マンハッタンへ入ると割とすぐ地下に潜ってしまいます。ウォール街などのあるロウアーからお洒落なブティックなどの多いヴィレッジ、そしてホテルやデパートなどなどの繁華街ミッドタウン・・・と徐々にマンハッタンを北上します。
 頭の中で♪ゆ~ます、ていっ・じ・えいっ・とれ~ん~ とのんきに"A列車で行こう"を響かせたまま、私は何の疑問も抱かずにAトレインに揺られていたのですが、42丁目(観光名所にもなっているグランド・セントラル)駅を過ぎた辺りで「あれ~?もうそろそろ乗り換えかなぁ?でも72丁目だからもう少し先よね~」と、路線図を確かめることもせずにやはりのんきに構えていました。テキトーに乗り換え、と考える私自身がテキトーなのです。その次の59丁目(コロンバス・サークル)で止まった時にようやく「よし、次に止まった駅で乗り換えよう」と決めました。
 しかし。Aトレインには落とし穴があったのです。
前述の"A列車で行こう"の歌詞はこんな風に続きます。

♪A列車に乗らなくちゃ~、ハーレムのシュガーヒルに行くんだ
  だからA列車に乗らなくちゃだめさ~、それがハーレムへのいちばんの近道なんだから~

 そうです、Aトレインは気づかずに乗っているうちにいつの間にかハーレムへ行ってしまうのです。そのことにまだ気づいていない私、59丁目から走り出したAトレインは私を乗せてゴゴーッと轟音を立てて72丁目を通り過ぎました。「あ~れ~!!私は72丁目で降りるのよ~!止めてよ~、降ろしてよ~~!!」という私の心の叫びもむなしく、Aトレインは81丁目の駅も通り過ぎました。それでも私、「ま、いいよね、次止まった駅で降りて逆方向に乗って引き返せばいいんだから」となんとか平静を保とうとします。しかし無常なA列車は次の86丁目も通り過ぎ、96丁目までも通り過ぎ、103丁目さえも通り過ぎ・・・いい加減に止まってほしい・・・この魔の列車はいったいどこまで行ってしまうんだろう・・・と途方に暮れかけた私をよそに116丁目もすっ飛ばして走り続けます。ようやく着いたのはなんと125丁目の駅でした。どうして目的地よりも53丁分も隔絶したブロックに来てしまったんでしょう?125丁目はまさにハーレムのど真ん中。あのアポロ・シアターもすぐそばです。すごいよ、あの歌はほんとに正しかったよ、まさにAトレインはハーレムへの近道・・・。昼間だからまだいいようなものの、夜には女の子一人で来るのは避けた方がいいエリアです。やれやれ・・・と思いつつ列車を降りて、反対側のホームに来るCトレインを待ちました。うー、でも昼間なのに平日だからか人気も少ないし、あまりよくない雰囲気かも・・・。私が持っていた荷物はソフトケースの小さいキャリー1個だったので、辛うじてあまり今到着し立てほやほやの観光客ぽくは見えない(?)のが唯一の救いかも。ニューヨーカーもランドリーに洗濯しに行くorちょっと荷物が多いときによくこういうキャリーを引いて歩いているんです。そうこうして乗った逆方向(ダウンタウン方面)のCトレインも、ほとんど人が乗っていなくて同じ車両にいるのは中年の黒人のおじさんと私の2人だけなのがまたまた緊張モノでした。隣の車両に移ろうにも、両隣の車両は無人でもっとこわい感じだったんです。6駅、53丁分引き返して、ようやく72丁目の駅にたどり着きました。やれやれ・・・。
 恐るべし、Aトレイン。
12OCT.2004
by bongsenxanh | 2005-11-17 01:40 | -NY'04 | Comments(0)


<< 『in her SHOES』 レミオロメン『粉雪』 >>


AX