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『ガール』 奥田 英朗 著、講談社
ガール
奥田 英朗
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あぁ・・・と、読み始めてすぐに共感のため息をもらしました。
タイトルの『ガール』はティーンの女の子たちを指すのではなく、30代の働く女性たちを指しています。帯のコピーには「30代。OL。文句ある?」とあります。
5篇の働く女性たちを描いた短編から成っています。とても読みやすいですし、1編ごとがそんなに長くないので区切りがつけやすいのでちょっとした時間を見つけて読むのに最適。
ソフトカバーの46判なので、バッグに入れて通勤電車の中で読んでほしい感じです。
それにしても・・・・・・奥田さんはどうしてこうも、書く対象の人物にすぅっと入り込んでその人物として呼吸するかのように描き出せるのでしょう。1959年生まれということは数えで47歳ということで、その年の男性がどうして30代女性の気持ちをここまで書けるのかなぁ・・・そんなにわかりやすいものでもないはずなのに・・・と不思議でたまりません。
「会社めー」「おまえがもうちょっとフォローしろよ」「こっちはそれどころじゃねえんだよ」とか、主人公が心の中で毒づきながら仕事を進める辺りの内面の描き方なんて「どうしてわかったの?」ってどきっとするくらいでした。例えばこういうの、内館牧子さんや林真理子さんが書いたりするとなんとなく独特の「いやらしさ」が出てしまうと思うのだけど、奥田さんが書くとさらっとしていて妙に爽やかなんですよね。女性の書き手と男性の書き手の違いなのかしら。
奥田さん、『サウスバウンド』で小学6年生の男の子を描いたのも良かったし、とても"人"を描くのがうまい作家さんなのだと思います。そして視線が優しいんですよね。もっと早く奥田作品に出会っておけば良かった・・・!!と今更ながら悔しくもあり。これから過去の作品もぼちぼち読んでいこう。
中でも「ヒロくん」「ワーキング・マザー」の2篇が良かったです。
この本を私に薦めてくださった"ガール"に感謝。
by bongsenxanh | 2006-04-09 03:01 | | Comments(2)
Commented by ろぷ at 2006-04-09 11:31 x
ふえさん、読んでくださったのですね。面白かったようで良かった~!
後味さわやかなんですよね。さらりと読めて、でも「そう!そう!」と共感できて、後に引きずることもなく。意外とそういう本って少なかったりして。

奥田さん、優しい人ですよね。
信頼できる同級生のような感じです。変に男女を意識せず、同じ目線で話が出来る男の子みたい。こういう人も、意外と少ないんですよねぇ。
Commented by bongsenxanh at 2006-04-09 22:49
ろぷさん、本当にありがとう!!
とっても良かったです・・・こう、ふっと肩が少し軽くなったと言うか。
うん、まだまだいいこといっぱいあるな、きっと!と思えたと言うか。

>信頼できる同級生のような感じです。
>変に男女を意識せず、同じ目線で話が出来る男の子みたい。
あぁ、ろぷさんのおっしゃる通りだわ~!
まさにそんな感じ。
こっちの言うことを穏やかに「うん、そうだね」って聞いてくれて、なおかつ適切に言うべきことは言ってくれるような人。
なかなかいないんですけどねー、身近にそういう人がいてくれたらいいですよね。
学生時代にはそういう男友達ってそこそこいたりするのに、社会に出てからそういう友達を見つけるのはものすごく難しい気がします。
やっぱり働くようになると利害関係が絡んでしまうからかなぁ。


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