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『MAMMA MIA!』 劇団四季
『MAMMA MIA!』 劇団四季_a0054163_135231.jpgはい、昨日大阪へ行っていたというのは、これのためです。
私の中で、格別に好きな作品でもありません。わざわざ遠方まで足代使って観に行きたいというほど思い入れのある作品でもありません、申し訳ないけれど。観劇回数も私の中では少ない方ですし(そう言えば東京で開幕した頃、私はまだ東京在住でしたっけ)。というわけですので、大阪で千秋楽を迎えるからと言って、それだけで急遽チケットを取って(とあるルートで降って来て良かった!)行ったりはしません。常ならば。常でなかったのは、昨年初冬辺りからあちこちで噂になっていたあの方が、1月半ばから主役に復帰されたということでした。千秋楽までの限定1ヶ月のみ。



主役に復帰されたあの方はもちろん、保坂知寿さん!そもそも彼女がいなければ、私がこの作品をそう何度も観ることはなかったと思います。ABBAのナンバー、私は嫌いではありませんが、かと言ってこの作品がジュークボックス・ミュージカルであることは紛れもない事実ですし、そのためにどうしても"ABBAしばりのカラオケメドレー"的な展開になることも否めません。
あ、今回は客観的で冷静な観劇レビュを書ける自信はまったくありませんので(と言うか、いつも冷静なレビュって書けていませんが f^^;) そういったものは大阪開幕時に観た時のものをご参照いただければ。
ほぼ2年振りに観たこの作品。劇場内へ入って、席へ着いて、幕開けのABBAの音楽が鳴り響き始めた途端、「あぁ...音響悪い...!!」と思いました。そうだ、2年前にこの劇場の柿落としとして開幕し立てで観た時にも、ここは音響が悪過ぎると思ったのでしたっけ。使っているスピーカーが悪いのか、はたまた劇場の造りとして反響が悪いのか、その両方なのかわかりませんが、本当に音が悪いのです。こんなにも音響の悪い劇場で5月からファントムやるってどうなんでしょ。
ともあれ、1幕が始まって。知寿さんが登場するその瞬間を待ちます(すみません、ソフィにはほとんど注意を払っておりません)。知寿さん登場。・・・あぁ、痩せられたな、と思いました。ただでさえこの人は細過ぎる体をしているのですが、それに輪をかけて細くなったな、と思いました。"やつれた"と言ってもいいかもしれません。なんだか、そう思っただけで胸がつぶれるような思いがして、知寿さんが「私は一息つきたい、休暇が必要なのよ!」という台詞を言って『MONEY,MONEY,MONEY』を歌い始めた途端、自分でもそんなつもりはまったくなかったのにポロポロポロ...!!と涙がこぼれてきてしまって、どうしようもありませんでした。急いでバッグからハンドタオルを出して目頭にあてたのですが、その後、このハンドタオルを手放せなくなってしまいました。このシーンにしても、他のシーンにしても、1幕では泣くようなシーンはないのです。にも関わらず、知寿さんが舞台に立って歌っている姿を見ているだけで涙が止まらなくなってしまいました。不思議と、知寿さんが舞台袖に入って、ソフィのシーンになったりするとすぅっと涙が引っ込むのですが(ごめんね、吉沢さん ^^;) 知寿さんが手にハンドドリルを持って『MAMMA MIA』を歌うシーンでも
♪おぼえてるわ あの裏切り 傷だらけで 耐えた日々を
という歌い出しを聴いただけで、だ――――――――――・・・!!と涙が出て来てしまって、もうまるで条件反射、パブロフの犬のようでした。私の両脇に座っていらっしゃるお客さんに不審に思われないかしら...と心配になりましたが、もう他のお客さんたちも、知寿さんのことを知っている方が多いらしく、私が号泣していても見咎める方はいないような雰囲気でした。それは知寿さんが『Dancing Queen』のシーンで、サングラスとピンクのレイをまとってばん!と扉を開けて現れた時の割れんばかりの喝采からも、『Super Trouper』の登場シーンの喝采からも明らかでした。皆、知っているんだ...わかっているんだ...。『Dancing Queen』のシーンで、知寿さんだけではなくて、弥生さんも以鶴美さんも、とっておきの熱演・熱唱をされていて、それが知寿さんを一生懸命見守るような、支えるようなもので、あぁ...やっぱり...という思いは強くなって。
♪踊って/歌えば/人生は最高だよ~~!(それにしてもこの歌詞はどうにかならないかね)
と歌ってドナをなんとか力づけて励まそうとするロージーとターニャの姿が、そのまま知寿さんを支えようとする弥生さんと以鶴美さんの姿に重なりました。このシーンに限らずですが、知寿さんのマイク音量が他のキャストのものよりもやや大きめに調整されていたようで(たぶん私の気のせいではないはず) それがわかる分だけ、余計に涙が出て来てしまいました。もう、この人を休ませてあげないと、だめだ。相当、無理をさせているんだ、と思いました。だってあの体にぴったりの銀白色のひらひら衣装の布が余って見えるくらい、痩せているんですもの。腕とか脚とか、肉がついていなくて皮だけなんじゃないかと思えるほど。『Super Trouper』を聴いている間、私の頭の中では今まで観た知寿さんの舞台が思い返されて。最初に観たのはキャッツのジェリーロラム/グリドルボーンだったっけ。グリドルボーンの時のソプラノのカデンツァがとっても好きだった。川島芳子も、ポリーも、マリアも、ピコも、ローズも大好きだった。テッサやオンディーヌも観たっけ。そんな風に記憶を反芻していたら、尚更涙は止まらなくなってしまったのでした。1幕、ほぼずっと泣きっぱなしでした。コンタクトをしている目がしょぼしょぼして痛い。マスカラも落ちてしまって、なかなか悲惨な顔をしていました。
2幕もそんな調子で。2幕冒頭のソフィの夢のシーンやソフィとスカイのいさかいのシーンなどは、だから私にとっては"休憩"でした。それにしても初めて観るスカイ役の岡田亮輔くんは歌・演技ともになんだかなぁ...という気がしました(知寿さんしか観ていないようで、一応他もチェックはしている)。もっと他に誰か、いなかったんだろうか。ま、スカイはいいけど。ペッパーの大塚道人さんも今一つ。あと、サム役の渡辺正さんもどうも不調でした。花粉症?それとも顎の関節炎にでもなった?という感じで、台詞を話す時のカ行とタ行がとても不自然でした。歌もどうにも。それに対して、他の2人の父親役、ハリーの飯野おさみさんとビルの野中万寿夫さんはとても良かったです。飯野さんのハリーは初めて観ましたが、この役によく合っていました。安定していて、穏やかで、最後にゲ○だと告白するのがぴったりの物腰でした(褒めてます)。野中さんは、私の大好きな役者さんなので。久々にビルで観て、やっぱり好きだと思いました。この役、ソロで歌うシーンが全然ないので、野中さん、せっかくいい声で歌もうまいのにもったいないなぁ...とも感じました。もっと歌うシーンがあればいいのに。
『S.O.S』や『The Winner Takes It All』を知寿さんが歌うシーンでは、こめかみがじんじん痛むのを感じながら、やはり滂沱の涙を流していました。いつもは最後の音をしっかり伸ばして歌いきる『The Winner Takes It All』を、短めに切り上げていたのでも、調子の悪さを感じたり、ところどころキーが上がり切らないように感じられたのも少しつらかったり。いつもの力の60%くらいにセーヴして歌っているのではないかな、それでもきちんとお客さんに聴かせられるレベルの歌を歌えているのは日頃のトレーニングの賜物なんだろうな、と思いました。
カーテンコール、さすがに2階席後方まで総立ちでした。ソフィ&スカイとアンサンブルキャストによる『MAMMA MIA!』は普通に歌って踊れたけれど(一応ね)、やっぱり知寿さん、弥生さん、以鶴美さんが出て来て『Dancing Queen』を歌い始めたら、止め様もなくぼろぼろ涙が出て来てしまって、泣きながら踊っていました。私、ばかだ...。細い体で、センターに立って、笑顔を絶やさずに舞台を務め上げる知寿さんの姿に、ただただ拍手を贈りました。こうやって、またひとつの時代が終わっていくんだなぁ...としみじみ思いました。祐一郎さんが辞められた時もそうでしたが。こうして、この劇団は、お客をまた一人、また一人...と失っていくのです。
ごめんなさい、泣いてばっかりでした。目蓋が腫れて、頭が痛くなりました。舞台が涙で霞んでしまうほどでしたが、でも、これが最後だと思ってしっかり目を見開いて一瞬一瞬を視覚と記憶に刻み込んでおこうとしたのも本当でした。ありがとう。本当に今までどうもありがとう。その思いでいっぱいで、心からの拍手を贈りました。いつか、どこでもいい、どこかの舞台できっと会えますように。でももしそうでなくとも、私の記憶からあなたが消えることはありません。

Sun Feb.4 2007 大阪四季劇場
by bongsenxanh | 2007-02-06 01:15 | 観劇レビュ 国内etc. | Comments(6)
Commented by oda at 2007-02-06 09:52 x
私も保坂知寿さんをはじめて観たのはキャッツだったと思います。すごく歌い方が特徴的でかわいらしい人だなぁ・・・と思ったのを覚えております・・
“祐一郎さんが辞められた時もそうでしたが。こうして、この劇団は、お客をまた一人、また一人...と失っていくのです。”この言葉かなりうなずきます・・・・最近余程みたい!!と思わない限り四季を観に行かなくなってしまいましたもの・・・
Commented by aya at 2007-02-06 15:36 x
いいな、いいな。
私も、もう一度、知寿さんのドナに会いたいです。
土曜日14時に、前楽(難易度高っ。でもこの日しかいけない)前予、
一発勝負、がんばります~。
Commented by bongsenxanh at 2007-02-06 21:14
♪odaさん
昔は(って言うほど昔でしょうか・・・^^; でももう昔ですね)今ほど野放図に全国で公演やっていなかったのでキャッツだけを集中してやっていた時期が長かったですよね。キャストも少数精鋭で粒揃いでしたし。知寿さんのグリドルボーン、素敵でしたよね。小悪魔的にかわいらしくてコケティシュで。四季でヒロインを務める女優さんって良くも悪くも合唱団チックだったり声楽歌いだったりする中で、知寿さんだけ一線を画して個性的でしたよね。保坂節が苦手という方もいらっしゃるのでしょけれど、やっぱり私は大好きです。
四季の作品、私も最近はよっぽど「この人!!」っていうのがなければ観に行かなくなりましたね、淋しいことですが。作品に釣られて観に行ってもがっかりして帰って来ることが多いですし。
Commented by bongsenxanh at 2007-02-06 21:20
♪ayaさん
チケットが手に入るように、私も祈ってますよ~!!
強力な念を送っておきます!!(笑)
実は私、前楽のチケットが一度は降って来てつかみかけたんですけど・・・ひらりと手の中から舞って行ってしまいました。
あの時はし!っと死ぬ気でつかんでおけば良かったです(; ;)
あと、贅沢言うなら、芝サムと麻美ソフィが観たかった(聴きたかった)です、せっかく花道キャストなんですもの。やっぱり東京で開幕したばっかりの時が一番いいキャストが揃っていましたねー。
ところでayaさん、名古屋は"飛ばし"ですか?(笑)
Commented by aya at 2007-02-06 22:52 x
あまりよい席じゃないけど、
とりあえず手に入れました。ほっ。

> ところでayaさん、名古屋は"飛ばし"ですか?

迷い中。
10日に京都に宿泊して、
おいしいものを食べて、
11日に名古屋。で、帰ろうかなと思ったんだけど、
なんと!
10日の京都の宿が取れないっ!
なんで~?
三連休だから~?
Commented by bongsenxanh at 2007-02-07 01:06
♪ayaさん
良かったですねー>チケットget!
私も良席ではなかったですよん、C席でしたもの。
でもSのクズ席を買うよりいっそC席の方が好きなんです、私(笑)
京都のお宿は、やっぱり三連休だからでしょうねー。
普段でも金・土って取りにくかったりしますもの。
私はお寺の宿坊とか普通の民家みたいな民宿に泊まったりしてましたけど、そういう小さいところを当たってみてはいかがかしら?
それか、10日のうちに名古屋に移動してきてこっちで泊まっちゃうっていうのもありかも~。
京都-名古屋は新幹線で移動するとたったの30分です。
夜遅いとバスはないかなぁ...


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