タグ:orchestra/instruments ( 98 ) タグの人気記事
『CARMEN』―MET Live Viewing
a0054163_01223533.jpg

走り書きばっかりで申し訳ないですが。
METの『カルメン』、初日の金曜日の夜に早速観て来たので、取り急ぎ。
1日2回上映、本当にありがたいです。
そうでなければ、平日に観に行くのなんて勤め人にはとても無理ですから。

世界で絶賛されているクレモンティーヌ・マルゲーヌのカルメン。
そこにドン・ホセと言えばロベルト・アラーニャ!というほど天下一品のドン・ホセ。
更にエスカミーリョには容姿・歌声ともに抜群のアレクサンダー・ヴィノグラドフ。
役者は揃った。

というのがMETの触れ込みだったのですが。
う―――ん、ごめんなさい、先に言ってしまいますが、クレモンティーヌのカルメン、私には今一つ良さがわかりませんでした。
いや、確かに歌は歌えているし、情熱的?と言われればまぁ情熱的だし(その程度か)、薄汚いジプシー女という感じの(差別ではありません、雰囲気を形容しているだけです)雰囲気を醸し出していて、まぁこういうカルメンもいるだろう…とは思ったのですが。
官能とか、迸る野性味とか、希代の悪女!というオーラみたいなものが、私には感じられなかったのです。
中途半端と言うか。
それに歌声が、何だか温かみのあるメゾ・ソプラノなんですよね。
カルメンらしいワイルドさとかシャープさはないと言うか。
私の好みとは違っていただけなのかもしれませんが。
う―――ん、う―――ん…。
結構鳩胸のどすこい!体型のカルメンで、お肌の色艶や皺の寄り方から、もう40代後半~50代くらいかしら?と思っていたら、バイオグラフィを見たら想像以上に若くて35歳でしたのよ、クレモンティーヌ。
失礼しました、ごめんなさい。
演じている時の表情が一瞬、渡辺えり子さんの様に見える時もあったりして。
ラテン系のエキゾチックな顔立ちなのですけど…。
うらぶれた場末のスナックにいる往年のママみたいなカルメンだったと言うか…。

カルメンはそんな感じなのですが、このプロダクションの観どころ聴きどころはやっぱりアラーニャでした!!!
いや、アラーニャ、素晴らしかったですよ!!!
びんびん響き渡る艶やかなテノール!!!
そうか、アラーニャ、アンコール上映の『ロメオとジュリエット』なんて観ている場合じゃなかったのね。
あなたの真価はやはりこういう、悪女に振り回される道を踏み外した生真面目男を演じた時に発揮されるのね。
そう言えば、クリスティーヌ・オポライス演じるマノンに振り回される『マノン・レスコー』を演じた時も良かったものね(そう言えばあの時もリチャード・エア演出だったっけ)。
実生活でも散々ゲオルギューに振り回されて、挙句、別れたくらいだものね(余計ですね)
幕間のインタビューの時にも、ミカエラを演じた実生活の現在の妻、アレクサンドラ・クルジャックと仲良さそうに応えていて、その受け答えがまた女性をうまく立てて、インタビュアーのアイリーン・ペレスにも優しく気遣いをしていて、あぁ、これはロベルト、女性にモテるはずだわ…と言うか、下手すると上手いこと女性に利用されちゃうはずだわ…と思わされたのでした。
話が逸れました(^^;)
あ、アイリーン・ペレスがとってもチャーミングで、インタビューが良かったです。
後述するイケメン・ダンディなエスカミーリョのヴィノグラドフとも、とっても親しげに話していて。

そしてそして!
エスカミーリョのアレクサンダー・ヴィノグラドフ!
アラーニャとまた良い感じにライバルを張れる、うっとりするような美声のバス。
しかもルックスがまたとてもハンサムさんで惚れ惚れしちゃうようなエスカミーリョなのです。
そりゃ、カルメンだってこんな闘牛士に言い寄られたら、ふらふらっとそちらに流れちゃうでしょう。
ただでさえ恋多き魔性の女なのだもの。

そういうわけですので、今回の『カルメン』はアラーニャとヴィノグラドフを観に行く&聴きに行くプロダクションです。
ぜひぜひこの二人の美声を聴いて来て下さい。
あ、あと、もちろんリチャード・エアの演出も見ものです。
あの回転する盆が二重になったセット、凄いなぁ。
ライブビューイングだと、1幕から2幕への舞台転換も見られるのが興味深いです。
1幕幕切れのカルメンの脱走で、あの回る盆舞台が非常に効果的に使われていました。
まさに逃走するカルメンの躍動感が表れていて。
リチャード・エア演出は人物の描き方も、その人物たちが織り成す重層構造も、何て言うのか、レイヤーが幾重にも折り重なって構成されているような重厚感がありますね。

あ、追記。
今回の『カルメン』、児童合唱団のコーラスがまたとっても素晴らしいのです!
1幕始まってすぐに「あぁ、コーラス良いなぁ…」と思って聴いていたら、ちゃ~んと幕間のインタビューで児童合唱団の指導をしているトレーナーと、コーラスの子ども3人のインタビューがあったので、流石!目の付け所をちゃんと心得ている!と思いました^^
コーラスの子どもは男の子2人と女の子1人で、ショーンとサラだったのは覚えているけれど、あともう一人の男の子の名前を忘れてしまった…(その内思い出します、多分)
「将来はソロの歌手として主役をやってみたい?」との質問に"I don't know."ってさらっと答えていたのが、いかにも米国の(NYの)子どもらしくて微笑ましかった。
METは児童合唱団も、もちろん大人の合唱団も、レベルが高くて何とも耳が幸せです。

幕開けのあのあまりにも有名な序曲を耳にした瞬間、そしてその後の超有名曲のオンパレードを聴いていて、「あぁ、『カルメン』ってなんてポップでキャッチ―なオペラなんだろう」と思いました。
『椿姫』と並んでオペラの入門には最適で、と同時に年季のいったクラオタにもちゃんと聴き応えがある楽曲ですよね。
更に序曲って書いて思い出したけれど、ルイ・ラングレーの指揮も良かった。
彼が序曲を振っている映像、とっても華やかで楽しそうでした。

by bongsenxanh | 2019-03-09 02:09 | 観劇レビュ NY '18/'19 | Comments(4)
2月のまとめ
a0054163_23590996.jpg
全然書けておりませんで、こんな3月の4日も過ぎてから2月のまとめも何なのですが。
観たもの&聴いたものをざざっと走り書きすると。

『ラブ・ネバー・ダイ』(Love Never Dies) 日生劇場×2
(2回とも石丸の幹ちゃんファントムで、濱めぐ・平原あーや両方のクリスティーヌを観て、ラウルも万里生・小野田両方観ました!)
『La Traviata』(椿姫)―MET Live Viewing
『Adriana Lecouvreur』(アドリアーナ・ルクヴルール)―MET Live Viewing
『ノートルダムの鐘』名古屋四季劇場
『A STAR IS BORN』(邦題:『アリー:スター誕生』)
NHK交響楽団定期演奏会 愛知県芸術劇場 コンサートホール ストラヴィンスキー『春の祭典』

ということで、ミュージカル3公演、METライブビューイング2公演、映画1本、クラシック演奏会1回、計7公演に加えて、仕事も超繁忙期な上に、経験年数上やらなければいけない研修+研究論文1本を書いておりまして(いつ書いていたんだ、本当に書いていたのか?)、自分でも何かおかしいんじゃないかと思うほどの忙しさでした。
いや、こんな繁忙期にこれだけの公演を詰め込んだ自分が迂闊。
でも何とか走り抜けました。

で、ミューとかオペラについてはおいおい書くのですが(本当か?)、映画『アリー:スター誕生』についてだけ、ささっと。
これ、おそらくもう全国ほとんどの映画館で上映終了してしまっていると思うのですが(私が観たのも上映最終日でした)。
日本では興行収入が伸びず、あからさまに『ボヘミアン・ラプソディー』に喰われちゃったと言うか、水をあけられてしまった格好になってしまいましたが。
私は何と言ってもブラッドリー・クーパーが大好きなので(面食い&ミーハー)、もう彼の姿を見るためだけに観に行ったと言っても過言ではないほどなのですが。
これ、決して悪くない映画だったと思うのです。
実際、日本では振るわなかったけれど、本国では大ヒットでしたし、アカデミー賞でもあの扱いでしたし。
ここのところ少し人気に陰りが出て来たと言われていたレディ・ガガもこれでまた復活!とも言われているし。
そういったことをさておいても、映画としてもとてもよく出来ていたと思うのです。
日本では『スター誕生』のリメイクであることをひた隠しにするようなプロモーションを展開していたけれど。
オリジナルでもリメイクでも、どっちでもいいじゃん、映画として素晴らしければ。と言えるような出来で。
ガガもブラッドリーも良い演技をしていたし、ガガのパフォーマンスはとても自然で流石だったし、楽曲も良かったし。
それに容姿にコンプレックスを持っていた、クラブで歌うだけの冴えない片田舎の女の子だったガガを、売れっ子シンガーのブラッドリーが見出して引き上げていくその過程も自然で良かったし、何よりほぼ素顔のガガが本当に普通で良かった。
コテコテメイクをしちゃっているガガよりずっと魅力的に見えた。
で、お互いに欠乏しているものがあって、それを埋め合うからこそ魅かれ合う姿がじわっ…と沁みたし。
なまじ良かっただけに、日本でのこの扱いが非常~~にもったいなく思えたのでした。
あ、もちろん、私は『ボヘミアン・ラプソディー』も大好きですし、あちらはあちらで素晴らしいのですよ~!!

という、2月でした。
あぁぁぁ、思う存分、ミューとオペラについてつぶやける時間が欲しい。
パーヴォ指揮のN響のストラヴィンスキーも良かったのですよ!
途中、ちょっと乱れてリスキーなところもあったけれど(笑)

by bongsenxanh | 2019-03-05 00:33 | 観劇周辺 | Comments(0)
『Adriana Lecouvreur』―MET Live Viewing
a0054163_01194755.jpg
珍しく平日にお休みが取れて初日に観てまいりましたので!
まだ『椿姫』のことも書けていませんが、いったん「観て来た」報告だけ上げておきます。
METライブビューイングの『アドリアーナ・ルクヴルール』
もうこの画像がすべてを物語っているようなものですが。
アンナ・ネトレプコが18世紀に実在した大女優を演じるオペラです。
以上。
本当、それだけっちゃそれだけなのですが。
で、自分が恋仲になっている男の元恋人が権力を握っている嫉妬深い公妃で、その女から酷い目に遭わされる…という結構な悲劇です。
ただね、この ザ・女のバトル!の辺りが非常~に面白いのですよ、どろっどろで!
ネトレプコと公妃の対決シーン、本当に凄いです!
その辺の濃厚なところを描かせたらうまいのがデイヴィッド・マクヴィガー演出。

a0054163_01274463.jpg
こう言うとファンからは怒られてしまうかもしれませんが、ネトレプコは割といつも通りのネトレプコです。
確かに全身全霊で歌っていて、役に入り込んでいて上手いのですが、でも通常営業のネトレプコです。
そもそもネプ子、だいぶ太って、年も取って、もうかつての様な可憐なソプラノではなくて、野太い声のどっしりしたソプラノになっちゃいましたからね。
歌声が本当に太くて粘りがあるんですよ~。ドラマティックではありますが。
それに対して、彼女を追い詰めていく悪女を演じるアニータ・ラチヴェリシュヴィリ(苗字が長くて覚えられない&発音出来ない)がんもう抜群に素晴らしい歌唱力なんです!
そしてそして、アドリアーナの恋人役のモテモテ色男役テノール、ピョートル・ベチャワがこれまた極上の歌声!
ベチャワの情熱的で色気のある歌声、好きだなぁ。
ネトレプコではなく、ベチャワの美声をずっと聴いていたいと思ってしまいました。
そしてこれらのスター歌手とオケを率いるのがジャナンドレア・ノセダ!!!
もう、なんて豪華なんでしょう。

また詳しく書きますが、とにかくこれ、観て損はないですよ~!
と言うか、インタビュー等でも語られている通り、なかなか上演される機会も少ない作品ですので。

by bongsenxanh | 2019-02-23 01:37 | 観劇レビュ NY '18/'19 | Comments(3)
『La Traviata』― MET Live Viewing
a0054163_04142698.jpg
はいっ!
まず最初に声を大にして言いますよ‼
皆さん、これ、観なきゃだめなやつですよー!!!
昨シーズンの『TOSCA』や一昨シーズンの『Romeo et Juliette』と同じレベルで観なきゃだめなやつですよ――!!!
少しでも気になる人、オペラ好き、演劇好きは必ず観てくださいね―――!!!!!
(クラオタさんたちはお薦めしなくても自分でちゃんと観に行くと思うので大丈夫^^)

a0054163_04135812.jpg

詳しいことはまた明日書くつもりですが、とにかく主演のディアナ・ダムラウが超絶素晴らしい!!!!!
あ、一昨シーズンの『Romeo et Juliette』で愛くるしいジュリエットを演じたソプラノですよー。
彼女はもう大ヴェテランの域に入って来ていますので、この作品のヴィオレッタも初役ではなくて何度も演じて来ているのでお手の物ではありますが。
その彼女を以てして「今回のこの演出こそ、私が求めていたものなの!」と言わしめた演出。
そう、今回何が良いって、マイケル・メイヤーによる新演出!!!
あの『Spring Awakening』のマイケル・メイヤーですよ!
今までミュージカルやストレート・プレイを手掛けて来た彼が、今季METの『マーニー』とこの『椿姫』でオペラ演出に挑戦しています。
そのマイケル・メイヤーの演出がこの上もなく良いのですよ~!
新演出ですが、デッカー版のような奇をてらった現代的なものではなく、作品の神髄に迫るクラシカルな正統派の演出です!(詳しくは明日)

そして今季、METの常任指揮者に就任したヤニック・ゼネ・セガンによる指揮、統括。
オーケストラも、歌手たちの歌唱も、すべて相俟っての音楽が耳を幸福にしてくれます。
オペラなのだから、音楽が良くなければお話にならないのは当たり前ですが。

演出・歌手(演者)・音楽、それに装置も衣装も、すべてがパーフェクトなのが今回の『La Traviata』です。
必ず必ず観てください。

2月14日までの上映です。
有難いことに、東京・名古屋・大阪は昼・夜の1日2回上映です。
夜上映があったからこそ、初日の金曜日の夜に観に行けました~!

by bongsenxanh | 2019-02-10 04:35 | 観劇レビュ NY '18/'19 | Comments(4)
先週末のことー映画、舞台、山
気がつけばもう12月になっているではありませんか。
時が過ぎるのが早過ぎて、もう何が何だか…。

先週末のことを書きたいと思っていて時間がなかったのですが。
木曜日の夜、『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、金曜日のマチネで劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観て、日曜日に鈴鹿山脈の奥まで入り込むロングルートを歩いておりました。
更に週が明けた水曜日の夜にはゲルギエフ指揮のミュンヘン・フィル、ソリストはユジャ・ワンのコンサートにまで行っておりました。
クレイジーです。
色々書きたいことは沢山あり過ぎるほどあるのですが、何より言いたいのは、

『ボヘミアン・ラプソディ』は凄かった‼

ということ。
私は、QUEENの曲はちろん知っていたし(あれだけ超有名なら当然ですね)、フレディのことももちろん知っていたけれど(世代的には後追い)、でもフレディに関しては「いつもピタッとした体のラインが出る衣装を着ている髭を生やしたゲイのおじさん」くらいにしか認識していなかったし(差別ではなく、あくまでも客観的な認識)、そしてそのセクシュアリティにしても「自我が芽生えた時からのゲイ」だという風にしか捉えていませんでした。
そのため、「そうだったのか!」「まさかそんなことになっていたとは!」みたいな驚きと発見の連続でした。
そもそも、彼のことをイギリス人としてしか認識していなかったので、彼のアイデンティティ(ペルシャ系インド人?)についてもこの映画を観るまで意識したことはありませんでした。
それだけに、彼自身が「僕は規格外だ」と言う様に、爆発する様な才能の塊の彼と、その彼と付き合う周囲の苦しみと、自分自身の才能とセクシュアリティゆえに身を削るような孤独の淵に堕ちていく彼の姿に、涙が出て仕方なかったです。
そして留めを刺すかの様な終盤21分。
ライヴ・エイドのシーンではもう泣けて泣けて仕方がなかったです。
何かもう、怒濤の様に泣きました。
映画館を出る時にあんな泣き腫らした目をしていたことって、今まであったかしら。
と言うことで、強く激しくお薦めです。
いや、私なんぞがお薦めしなくても、もう既に世間の皆さまが激しくお薦めしていますね。
上映中に時間があれば、もう一度観に行きたい。

『ノートルダムの鐘』では、第4のカジモドとして登場した金本カジモドを観られて、こちらもとっても良かったので、こちらはまた別で。
体が大きくて、カーテンコールで笑顔で足までパタパタさせながら手を降る姿がチャーミングで、歌声が切なくて甘い、そんなカジモド。

by bongsenxanh | 2018-12-02 18:55 | 映画 | Comments(2)
『Romeo et Juliette』―MET Live Viewing encore
a0054163_23153858.jpg
えーと、こちらを観てきたのです。
MET Liveビューイングのアンコール上映で。
ソニア・ヨンチェヴァの『TOSCA』に次いで、今季のアンコール上映の中では楽しみにしていたのですが。
こちら、2007年公演のアンコール上映で、これを上映していた頃、ちょうど私はNYに行っていて、観ようと思えばチャンスがなかったわけではなかったのですが、他に観る作品で枠がいっぱいだったので観られず。
だから尚更、今回のアンコール上映を楽しみにしていたのですが。
あ、観ての通り、主演はロメオ=ロベルト・アラーニャ、ジュリエット=アンナ・ネトレプコです。
えーと…ね、えーとね、えーとね…。
一昨年(2016-2017シーズン)のプロダクションで、同作品がありましたよね。
バートレット・シェール演出で、ヴィットリオ・グリゴーロがロメオで、ディアナ・ダムラウがジュリエットで。
私が1週の間に2回も観に行って、興奮してわーわー言っていた『Romeo et Juliette』
演出も歌手も指揮も上演された時期も違うのだから、違って当然なのだけれど、どこかであれと同じレベルのものすごいものを期待してしまっていたのです、私は。
だって同じメトロポリタン歌劇場で上演されるプロダクションなわけだし。
だから、あの、期待していたものとは違ってしまっていたのは、やはり当たり前のことで。

a0054163_23165095.jpg
あのー、ネトレプコはね、2007年なので、まだまるまるになっちゃう前のネトレプコで、お顔も皆さんご存知の通りの美しさなのですが。
声質がね、全然ジュリエットじゃないの。
それはネトレプコ自身もインタビューの中で、「この役は私には音域が高くて、私の声は本当はもう少し低音域の方が歌いやすいのだけど…」と語っていた通りなのだけど。
ネトレプコ、もっとずっと若かった頃にはリリコ寄りのソプラノだったのだけれど、この頃になるともう、年齢と共に声も太く低めのコシのある声になってきて、貫禄と脂も乗ってドラマティコと言うか、少なくともジュリエットに要求される清純で可憐なソプラノではなくなっているのですよね。
それが随所で感じられて、ちょっとジュリエットとしてはつらかったかな、と。
そして歌声だけではなく、そもそもネトレプコは気が強くて性格がキツイと言うか…ね。
ジュリエットの清純さとは真逆なところがあるのですよね。
美人なのだけど、きつめの意地悪顔の美人ですしね。
ロメオとの初めての夜のベッドシーンなんて、まるで初めての初々しさなんてなくて、何て言うのかもう、手練れの娼婦の様な気配すら感じさせていたので…(^^;)
ジュリエットは、ネトレプコの役ではなかった、と。
その点、前述のダムラウは、御年45歳でありながら、ものすごく初々しい10代の少女に見えたのですよねー、すごい。
ネトレプコはやっぱり、マクベス夫人辺りが声質的にもキャラ的にもハマリ役なのではないかしら。

対するアラーニャは、声や歌唱はとっても素敵だったのだけれど。
いかんせん、もう中年を通り越して初老の域に入りかけている容貌が…ロメオとしてはやはりつらかった。
グリゴーロのロメオがあんなにも迸る様に若々しかったことからすると…。
ロメオもジュリエットも、やはりフレッシュさって重要ですね。
あとね、アラーニャとネトレプコは、あまり相性がよろしくなかったかなぁ…とも。
見るからに良い人そうなオーラが全身から出ているアラーニャと、それを鼻の先でふふんって笑って弄んじゃいそうな性悪のジュリエット=ネトレプコっていうのが…(注:あくまでも私の印象ですので。ファンの方、ごめんなさい)
実際、インタビューの時にも「僕はシャイだから、人前であんなシーン(ベッド・シーンね)を演じるのは…」って話すアラーニャと、「あら、私は全然シャイなんかじゃないわ。作品の中でもラブシーンが一番好きよ~ん!」って答えちゃうネトレプコでは、何となくうまく歯車が噛み合っていない様な雰囲気があってね。
アラーニャが食われちゃっている様な気配が。

a0054163_23160300.jpg
そしてね、これがアラーニャが「人前であんなシーンは…」と言っていたベッド・シーンなのですが。
ベッドが宙吊りにされて、そこに風が吹いてシーツがひらひらと揺れて、その上で二人のアリアがあるわけです。
あぁ、舞台装置のディザイナーや演出家は、これがやりたかったんだなー、と強く感じましたが。
これ、効果的だったかなぁ…。
他にも1幕から回る盆舞台を採用したりしていましたが、盆舞台が効果的に使われていたかどうかと言えば…う―――ん…。
ジュリエットがロメオに手を差し伸べるバルコニーにしても、手抜きのセットっぽくて、あのシーンのロマンティックさというものは上手く醸し出せていなかった様に思いました。
加えて、二人の衣装。
1枚目にも載せたジュリエットの濃いローズピンクのドレスにしても、アラーニャが来ている薄い水色の衣装にしても、全然素敵に見えなくて。むしろ安っぽくて。ダサくて。
先にも書いた様にアラーニャももうそろそろいい年なので、せめてそのアラーニャを若々しい両家のお坊ちゃんに仕立てあげるような、体型と年齢をカヴァー出来る衣装を着せてあげて欲しかった。
シュッとして締まって見えるような、ね。
薄い水色は膨張色だし、足も短く見えちゃって、ジュリエットから見て素敵な貴公子に見えないんじゃないかと…。
バート演出の『Romeo et Juliette』では、衣装ディザインのCatherine Zuberがカサノバを意識してディザインしたと言っていた衣装が、それは素敵だったのだけれど。

というわけで、演出、歌手、舞台装置、衣装共に、欲求不満で終わってしまい、ただただひたすら長く感じられた『Romeo et Juliette』だったのでした。
ごめんなさい。
本当に残念…。

あ、そうだ、そんな中で唯一、キャピュレット家お小姓のステファノを演じたイザベル・レナードだけはピカイチでした。
颯爽としていて、歌声はよく徹って美しい。
イザベル、こんな11年も前にもうMETに出ていたのね。
まだ最近出始めたばかりかと思っていました。
イザベルは2014年の『フィガロの結婚』のケルビーノも本当に愛らしくて、それでいて歌は抜群でしたね。
こういうズボン役が似合っちゃうメゾ・ソプラノなんですね~。

by bongsenxanh | 2018-09-16 00:11 | 観劇レビュ NY '18/'19 | Comments(0)
『Romeo et Juliette』MET Live Viewing 2回目
a0054163_044815.jpg
1週間限定の『ロメオとジュリエット』METライブビューイング公開、最終日の先週金曜夜に(今シーズンは特定演目に限って、昼夜2回ロードショウです。ありがたや!)観納めの2回目、観てまいりました。
あぁ、もう、このバルコニー近くまで柱をよじ登っていくグリゴーロ、大好きだわ。
2回目になると、1回目の昂揚からもう少し落ち着いて、細部までじっくり観て味わえるようになりますね。

→Read more!
by bongsenxanh | 2017-03-09 23:57 | 観劇レビュ NY '16/'17 | Comments(2)
『Romeo et Juliette』つづき
a0054163_0555256.jpg
はい、のっけからなんだ?という感じですが、今回の『Romeo et Juliette』のプロダクションのリハーサルの1コマ。
これを私は昨年のクリスマスの頃に目にしたのですが、その時点でNY行きをキャンセルするか、仕事をぶっちぎってでも無理矢理飛んじゃうか、もんのすごいジタバタして苦悩しておりました。
だって、こんなの見ちゃったら、心は飛んじゃうじゃないですか、METへ。
やーーーん、なんてロマンティックなの、ヴィットリオったら~♥♥♥
(既におかしくなっておりますので、温かい目で見守って下さい)

で、昨日も書きましたが、今回のプロダクション、指揮を振るのはジャナンドレア・ノセダで、METのオケはそれはそれはbrilliantな音を響かせていましたが。
そこへ被って来るグリゴーロとダムラウの歌声がまた華やかで、甘く、美しくて。
聴いている耳が幸せでした。
このプロダクションでは、二人による"愛の二重唱"がとても多くて、3幕以外ではすべて、つまり1幕でも2幕でも4幕でも5幕でも、ゴールデンカップルのデュエットが聴けます。
それがまた、二人の息がぴったりで。
二人とも世界トップのテノール&ソプラノなのだけれど、「私が、私が」って前に出ちゃってお互いを相殺することがまるでなく、互いを尊敬して互いの声をよく聴いて声を合わせているデュエットなのがまた、得も言われず美しいのです。
幕間のインタビューでグリゴーロが、ダムラウと息がぴったりだけど、連絡を取り合っているの?テキストしたりする?って訊かれて「全然。稽古に来て会うだけだよ。電話もしないよ、ね?」って言っていたけれど、プロフェッショナルってそういうものだなぁ…と。

→Read more!
by bongsenxanh | 2017-02-27 00:59 | 観劇レビュ NY '16/'17 | Comments(2)
『Romeo et Juliette』MET Live Viewing
a0054163_23292731.jpg
こちらを観て来たのです。
METの『ロメオとジュリエット』
そもそも今年の1月に、今回のこのプロダクションは生で観られるはずで、でもそれをキャンセルせざるを得ず、涙を飲んでからというもの、ずっとずっと心待ちにしていたLive Viewing。
世間では『LALALAND』の公開初日ということで大騒ぎになっていましたが(私ももちろん観に行く予定だし、楽しみではある)、それをさておいても『ロメオとジュリエット』を最優先で観なければ!
なんてったって、たった1週間で終わってしまうのだから。

で、ナントカの一つ覚えみたいに
素晴らしかった!!!!!
Bravo!Bravo!Bravissimo!

と叫んじゃいたい出来栄えでした!!!

もー、もー、もー、期待を裏切らないわ、バートレット・シェールったら!!!
あ、蛇足ながら書いておくと、今回のプロダクション、演出はバートレット・シェールによる新演出。
バートは紹介し始めたらキリがないけれど、METでも数々のプロダクションで演出を手掛け(『セビリアの理髪師』『ホフマン物語』等)、そもそもは演劇界で演出をしていて、2005-06年に私を狂わせてくれた『The Light in the Piazza』の演出が素晴らしく、Lincoln Centerでは『South Pacific』、新しいところでは『The Bridges of Madison County(マディソン郡の橋)』『Fiddler on the Roof』のrevival、更には一昨年に『King and I』の演出も手掛け、渡辺謙を王様役に抜擢した演出家です。
バートは、奇をてらったことはしない、クラシカルで王道な、それでいて童話の様に幻想的で美しい舞台を作り出す演出家です。

でもって、バートと主演二人に気を取られていて見落としていたのですが、指揮を振るのはなんとジャナンドレア・ノセダ!!
なんて贅沢なんでしょう。
ノセダが振ったMETのオーケストラは、木管も弦楽も輝いて聴こえました。
1幕始まっての木管がくっきりと耳に届いて、綺麗だった~。

で、言わずと知れたロメオ=ヴィットリオ・グリゴーロとジュリエット=ディアナ・ダムラウのカップル。
もうねー、この二人については、言いたいことがたくさんあり過ぎて、とても書き尽くせません。
仕事に押されて、1月にNYへ飛べなかった自分を、心底悔しくて呪いたくなるくらいに、本当にこの二人のロメオ&ジュリエットは素晴らし過ぎる。
でもって、二人とも可愛過ぎる!
ディアナなんて、劇場で遠目に見たら本当に10代のジュリエットに見えるだろうっていうくらいに軽快な動きで愛らしかった。(45歳なのに)
グリゴーロも、少年少年していて、若々しくて。(40歳なのに)
自分でもインタビューで、「どうやってあんな若いロメオになっているの?」と訊かれて、「僕は普段から話し方や考え方が子どもっぽいって言われることがあるんだけど、心の片隅にいるピーターパンを出してあげて(演技して)いる」ってにこやかに応えていて、もー、グリゴーロったら!!!愛おし過ぎる!!!って思いました。
グリゴーロ、オペラ歌手にあるまじき身体能力の高さで、ジュリエットのいるバルコニーにも建物の柱をつたって身軽によじ登ったりしちゃうし。
カーテンコールでは、ダムラウをまさかのお姫様抱っこまでしちゃうし!(羨ましぃ!!グリゴーロになら、私もされたい!!!<おい)
ダムラウも顔を赤らめて照れてたなー、嬉しそうだったけど。

詳しくはまた書くとして(書き切れないんだもん)、MET公式に出ているTrailerなどどうぞ。
この映像観るだけでも、舞台の素晴らしさが伝わるのではないかと。
舞台装置も衣装も素敵なんです。
衣装担当のCatherine Zuberが「皆、フェリーニの映画が好きなんだけど、今回は特に『カサノバ』を参考にした」と言っていて、とっても良い雰囲気です。
「18世紀のとある町。デカダンスとミステリアスの漂う町にしたかった」と。
私は必ずこの1週間以内にもう一度観に行くと思います。
少しでも興味を引かれた方、今回のプロダクションを観逃したら確実に後悔します。
一生ものの損失になると思います。
ストーリーはよく知られたあれで、場面がピックアップして濃縮されていますので(オペラだから)、戯曲のものよりもっとドラマティックになっています。
グリゴーロの歌、ロマンティックで色気があって、とろけちゃいそうです。
ぜひぜひご覧下さい。


by bongsenxanh | 2017-02-25 23:30 | 観劇レビュ NY '16/'17 | Comments(0)
double-booking
本日、こちらと…
a0054163_132181.jpg


こちらを…
a0054163_12260.jpg

痛恨のミスでダブルブッキングしておりまして。

これだけ何本かの作品や演奏会を、3ヶ月~半年以上前からチケット手配していると、時々やらかしてしまうのです。
スケジュールの読み間違いor勘違いで、同日同時間の重複予約。
幸い、今日の2本は、全く同じ劇場内にある大ホールとコンサートホール。
開演時間がずれているので、計算通りいけば被るのは約30分。
というわけで、泣く泣くN響のヴァイオリン・ソロの協奏曲の方を諦めることにして、それでも両方行きました。
『ミス・サイゴン』のカーテンコールを短めに切り上げて(と言っても、今日は千秋楽を迎えるキャストの挨拶があったので、普段より長かった…)、ダッシュでコンサートホールへ。
ソリストのアンコールは、聴けたよ!
N響は、やはり「どうしてこんなに上手いんだろう?」って思わされる流石の上手さで、レスピーギの交響詩、ものすごく楽しかった!

というわけで、また詳しい感想なんぞを。
キム・スハちゃんのキム、最初は「皆さん、良いって言っていたけど、こんなもの…?」って思っていたけれど(あれくらい歌える韓国の女優さんはいくらでもいる)、1幕後半になったらぐんぐん良くなってきた。
キムがクリスと引き裂かれて一人になった後の演技ね。
スハちゃんは見た目も、田舎から出て来た垢抜けないアジア娘っていう雰囲気があって(これはオリジナルのLea Salongaにも通じるもの)、キムの役柄にぴったり合っていて良かった。
ダイヤモンド☆ユカイも、帝劇で開幕した頃よりは良くなっていました。
が、あのバタフライ・ナイフと「ロックンロール!」っていう叫びは、要らないんだよなぁ。
by bongsenxanh | 2017-01-21 23:55 | 観劇周辺 | Comments(0)




AX